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 昭和40年版 犯罪白書 第一編/第一章/一/5 

5 過失犯罪

 過失犯罪の主要なものには,業務上過失致死傷(重過失を含む。以下同じ),その他の過失致死傷および失火(重失火を含む。以下同じ)がある。I-21表は最近の過失犯の検挙人員の推移を示したものであるが,失火は昭和三六年を頂点として減少の傾向をみせており,単純過失致死傷は,昭和三四年以降逐年大幅に減少している。これに反して,業務上過失致死傷の増加は,まことにとどまるところを知らない感がある。これはほとんどが自動車交通による人身事故にかかるものであり,道路交通法違反の急増とともに現下の重大な社会問題の一つとなっている。昭和二〇年から二〇年間の業務上過失致死傷の検挙人員の増状加況をグラフで示すと,I-4図のとおりであるが,この曲線をみただけでも事の重大性を感じないわけにはいかない。

I-21表 過失犯罪検挙人員(昭和34〜39年)

I-4図 業務上過失致死傷検挙人員の推移(昭和20〜39年)

 しかし,この点は,後に交通犯罪の項で改めてとり上げるので,ここでは検察庁において既済となった業務上過失致死傷と重過失致死傷のうち,少年の占める割合についてふれておくにとどめることとする。I-22表に示すとおり,少年の占める割合は,業務上過失致死傷では一七%から二四・四%で,その比率は比較的低いのに対し,重過失致死傷では四四%から四五・九%という高率を示しているが,後者の事件の大部分は,無免許運転による人身事故である。

I-22表 既済事件の受理時少年人員調べ(昭和36〜38年)