前の項目 次の項目       目次 図表目次 年版選択

平成24年版 犯罪白書 第5編/第3章/第2節/2

2 犯罪被害の実態
(1)被害態様別被害率

調査対象とした犯罪被害について,過去5年間(調査実施年の前の5年間及び調査実施年頭から調査実施時点までの期間をいう。以下この項において同じ。)及び平成23年中の被害率(1回以上犯罪被害に遭った比率をいう。以下この項において同じ。)を被害態様別に見ると,5-3-2-1図のとおりである。


5-3-2-1図 24年調査 被害態様別過去5年間・平成23年の被害率
5-3-2-1図 24年調査 被害態様別過去5年間・平成23年の被害率

全犯罪被害(調査対象とした世帯犯罪被害又は個人犯罪被害に該当する犯罪被害をいう。以下この項において同じ。)のいずれかに遭った者の比率は,過去5年間では全回答者の34.4%であり,平成23年1年間では11.9%であった。世帯犯罪被害の中では,自転車盗の被害率が最も高く,自動車損壊が次に高い。過去5年間及び23年1年間の被害率は,個人犯罪被害及び各種詐欺等犯罪被害が世帯犯罪被害よりも全般的に低い。また,振り込め詐欺については,同被害の有無のほか,振り込め詐欺と思われる電話,メール,通知等を受けたことがあるかについても調査したが,過去5年間にこうした電話等を受けた者は20.1%に上っている(電話等を受けて実際にお金を支払った被害は,同図の「振り込め詐欺」の被害率のとおり。)。

世帯犯罪被害及び個人犯罪被害について,過去5年間における被害態様別の被害率を12年調査から24年調査時までの経年比較で見ると,5-3-2-2図のとおりである。全犯罪被害の被害率は,24年調査時では,20年調査時からの大きな変動はないが,12年調査時からは低下している。


5-3-2-2図 被害態様別被害率(過去5年間)の経年比較
5-3-2-2図 被害態様別被害率(過去5年間)の経年比較

比較的被害率の高い自動車損壊,バイク盗及び自転車盗については,12年調査から20年調査時までは低下傾向にあるものの,今回は大きな変動は見られなかった。性的事件については,12年及び16年調査では,女性のみを対象としたのに対し,20年調査以降では,男女双方を対象としたため,全体を通じての経年比較はできない。なお,24年調査における女性回答者の過去5年間の性的事件の被害率は2.3%であった。

(2)被害態様別被害申告率

調査対象とした犯罪被害について,被害態様別に,過去5年間の被害申告率(被害に遭った世帯又は個人のうち,被害(同一の被害態様で複数回ある場合は直近のもの)を捜査機関に届け出た比率をいう。)を見ると,5-3-2-3図のとおりである。被害者が捜査機関に届け出なかった被害は,多くの場合,暗数となる。ほとんどの被害態様について,「届出なし」の回答が約2割から7割に及んでおり,各被害態様に一定割合の無回答等があることを踏まえても,暗数が相当数あることがうかがわれる。


5-3-2-3図 24年調査 被害態様別過去5年間の被害申告率
5-3-2-3図 24年調査 被害態様別過去5年間の被害申告率

また,世帯犯罪被害で見ると,バイク盗,自動車盗及び車上盗では過半数が被害申告をしたのに対し,自動車損壊や不法侵入未遂では3割を下回るなど,被害態様による差が見られた。