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1 非行・犯罪の原因認識

7-4-3-1図は,非行・犯罪の原因認識(「青少年が非行や犯罪に走るのは,どこに主な原因があると思いますか。」との質問に対する回答)を示したものである。まず,非行少年及び若年犯罪者全体の回答状況(7-4-3-1図<1>)を見ると,「自分自身」に原因があるとする者が6割を超え(非行少年66.8%,若年犯罪者62.7%),これに次いで友達・仲間(同22.0%,18.1%),家族(同7.1%,12.2%)の順となっている。平成17年調査と比べると,今回の非行少年調査では,自分自身を原因とする者が約10pt上昇し,交友関係が原因だとする者が約10pt低下した。若年犯罪者では,家族を原因とする者の構成比が非行少年より高い。


7-4-3-1図 非行・犯罪の原因認識(非行少年・若年犯罪者別・保護処分歴別・犯罪類型別)
7-4-3-1図 非行・犯罪の原因認識(非行少年・若年犯罪者別・保護処分歴別・犯罪類型別)

7-4-3-1図<2>は,非行少年・若年犯罪者別,保護処分歴別に非行・犯罪の原因認識を見たものである。非行少年・若年犯罪者共に,保護処分歴の各区分において,おおむね6割を超える者が「自分自身」に原因があるとしている。一方,「家族」に原因があるとする者の割合は,少年院送致歴のある非行少年(14.1%)では,保護処分歴のない非行少年に比べ顕著に高い。また,児童自立支援施設等送致歴のある者(他の保護処分歴を有する者を含む。)の回答状況を見ると,「家族」に原因があるとする者の割合が少年院送致歴のある者以上に高く(非行少年26.1%,若年犯罪者20.8%),「友達・仲間」とする者の割合が低い(同8.7%,8.3%)。これらの者では,他の者と比べ家庭の問題が非行・犯罪の原因認識に大きな位置を占めていることがうかがえる。

7-4-3-1図<3>は,調査対象者の今回の入所に係る非行又は犯罪の類型別(類型については非行少年・若年犯罪者を問わず前章第3節の例による。)に非行・犯罪の原因認識を見たものである。いずれの類型においても,「自分自身」とする者が最も多いが,非行少年については,性犯罪類型において,「自分自身」と回答する者の割合が非常に高い(94.4%)。また,「友達・仲間」とする者は,薬物(30.8%),窃盗(26.3%),交通(26.3%)の類型で比較的高い。一方,若年犯罪者については,「友達・仲間」が原因とする者が薬物犯罪類型(23.2%)で特に高く,性犯罪類型(7.4%),交通犯罪類型(6.7%)では低い。前章において,不良交友関係が再犯のリスク要因となっていることを各類型別の特徴を交えて指摘したが,非行少年・若年犯罪者の意識でも同様のことがうかがえる。