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2 少年・若年保護観察対象者の特徴
(1)罪名・非行名

7-2-4-3図は,保護観察開始人員について,罪名・非行名別構成比の推移(平成2年以降)を保護観察の種類別に見たものである。


7-2-4-3図 保護観察開始人員 罪名・非行名別構成比の推移(種類別)
7-2-4-3図 保護観察開始人員 罪名・非行名別構成比の推移(種類別)

各年の保護観察処分少年,少年院仮退院者,若年保護観察付執行猶予者及び若年仮釈放者のいずれにおいても,窃盗の構成比が最も高い。窃盗を除き,平成22年における罪名を見ると,保護観察処分少年では,道路交通法違反,傷害の順となっているのに対し,少年院仮退院者は,傷害,強盗,道路交通法違反の順となり,保護観察処分少年に比べ一般刑法犯及び道交違反を除く特別法犯の構成比が高い(なお,保護観察処分少年は交通短期保護観察に付された者を含まない。)。若年保護観察付執行猶予者では,覚せい剤取締法違反,傷害,強盗の順であり,若年仮釈放者では,覚せい剤取締法違反,強盗,傷害の順であって,少年と比べ,覚せい剤取締法違反の構成比が高い。

過去の推移を見ると,保護観察処分少年では,窃盗の比率が平成4年の22.6%から22年には42.2%と19.5pt上昇する一方で,道路交通法違反,自動車運転過失致死傷・業過が低下した。また,保護観察処分少年及び少年院仮退院者の双方で,傷害の比率が上昇し,ぐ犯,毒劇法違反の比率が低下した。若年保護観察付執行猶予者及び若年仮釈放者では,強盗の比率が上昇する一方,覚せい剤取締法違反の比率が低下している。

(2)居住状況

7-2-4-4図は,平成22年における保護観察開始人員について,保護観察開始時の居住状況別構成比を保護観察の種類別に見たものである。


7-2-4-4図 保護観察開始人員 居住状況別構成比(種類別)
7-2-4-4図 保護観察開始人員 居住状況別構成比(種類別)

保護観察処分少年,少年院仮退院者,若年保護観察付執行猶予者及び若年仮釈放者のいずれにおいても「両親と同居」の比率が最も高く,「両親と同居」,「母と同居」及び「父と同居」を合わせた親との同居の比率は,若年保護観察付執行猶予者,若年仮釈放者では,25歳以上30歳未満の者がそれぞれ56.7%,67.7%,25歳未満の者がそれぞれ65.3%,74.5%,保護観察処分少年,少年院仮退院者ではそれぞれ89.2%,88.0%となっており,保護観察付執行猶予者全体(40.5%),仮釈放者全体(40.9%)(2-5-2-4図参照)と比べていずれも高く,かつ,年齢層が低くなるほど親と同居する者の割合が高くなる。なお,近年,保護観察処分少年及び少年院仮退院者では,「両親と同居」の者の比率が低下し,「母親と同居」の者の比率の上昇が目立っている(3-1-5-4図参照)。

(3)就労状況

7-2-4-5図は,平成22年における保護観察終了人員について,保護観察の終了事由別構成比を保護観察の種類別・就学・就労状況別に見たものである。


7-2-4-5図 保護観察終了人員 終了事由別構成比(種類別・終了時の就学・就労状況別)
7-2-4-5図 保護観察終了人員 終了事由別構成比(種類別・終了時の就学・就労状況別)

保護観察処分少年,少年院仮退院者では,保護処分取消し(再犯・再非行により新たな処分を受けたために処分が取り消されること)で終了した者の比率が,無職であった者で,それぞれ49.9%,41.6%と,有職又は学生・生徒であった者と比べて顕著に高い。また,若年保護観察付執行猶予者では,執行猶予の取消しで終了した者,若年仮釈放者では,仮釈放の取消しで終了した者の各比率が,無職であった者で,それぞれ72.4%,12.0%と,有職の者に比べていずれも高く,特に,若年保護観察付執行猶予者において顕著である。

7-2-4-6図は,保護観察開始時及び終了時の就学・就労状況別の構成比の推移(平成4年以降)を保護観察の種類別に見たものである。


7-2-4-6図 保護観察開始時・終了時の就学・就労状況別構成比の推移
7-2-4-6図 保護観察開始時・終了時の就学・就労状況別構成比の推移

各年の保護観察開始人員と終了人員とでは,その対象が同一ではないため,厳密な意味での比較とはならないが,保護観察処分少年,少年院仮退院者,若年保護観察付執行猶予者及び若年仮釈放者のいずれにおいても,開始時よりも終了時の方が有職者の比率が高い。ただし,若年保護観察付執行猶予者については,開始時と終了時の有職者の比率の差が他と比べて小さい。