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2 家庭裁判所における手続の流れ
(1)家庭裁判所の調査

家庭裁判所は,検察官等から事件の送致等を受けたときは,事件について調査しなければならず,家庭裁判所調査官に命じて必要な調査を行わせることができる。

(2)少年鑑別所の鑑別

家庭裁判所は,審判を行うため必要があるときは,観護措置の決定により,少年を少年鑑別所に送致し,その資質鑑別を求めることができる。この場合,少年鑑別所は,送致された少年を収容して,家庭裁判所が行う審判等に資するため,医学,心理学,教育学,社会学その他の専門的知識に基づいて,資質の鑑別を行う。少年鑑別所は,平成23年4月1日現在,全国に52庁(分所1庁を含む。)が設置されている。

(3)家庭裁判所の審判等

家庭裁判所は,調査の結果に基づき,事件を都道府県知事又は児童相談所長に送致し,審判不開始決定をし,又は審判開始の決定をする。

家庭裁判所における審判は,通常,一人の裁判官が取り扱うが,決定により裁判官の合議体でこれを取り扱うこともできる。少年及び保護者は,付添人を選任することができるが,弁護士以外の者を選任するには,家庭裁判所の許可を要する。

審判は,非公開で行われるが,家庭裁判所は,一定の重大事件の被害者等から審判の傍聴の申出があった場合,少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときは,傍聴を許すことができる。

また,家庭裁判所は,犯罪少年の一定の重大犯罪に係る事件において,その非行事実を認定するために必要があると認めるときは,決定をもって,審判に検察官を関与(出席)させることができる。この場合において,少年に弁護士である付添人がないときは,家庭裁判所は,弁護士である付添人を付さなければならない。

なお,家庭裁判所は,保護処分を決定するため必要があると認めるときは,相当の期間,少年を家庭裁判所調査官に直接観察させる試験観察に付することができる。

家庭裁判所は,審判の結果,保護処分に付することができず,又はその必要がないと認めるときは,不処分の決定をする。児童福祉法上の措置を相当と認めるときは,事件を都道府県知事又は児童相談所長に送致する。死刑,懲役又は禁錮に当たる罪の事件について,刑事処分を相当と認めるときは,事件を検察官に送致するが,犯行時16歳以上の少年による一定の重大な事件については,原則として,事件を検察官に送致しなければならない。これらの場合以外は,少年を保護処分に付さなければならず,保護観察児童自立支援施設・児童養護施設送致(18歳未満の少年に限る。)又は少年院送致(おおむね12歳以上の少年に限る。)のいずれかの決定を行う。

少年,その法定代理人又は付添人は,保護処分の決定に対し,決定に影響を及ぼす法令の違反,重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときに限り,高等裁判所に抗告をすることができる。他方,検察官は,検察官関与の決定があった事件について,非行事実の認定に関し,決定に影響を及ぼす法令の違反又は重大な事実の誤認があることを理由とするときに限り,高等裁判所に抗告審として事件を受理すべきことを申し立てることができる。