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平成22年版 犯罪白書 第2編/第6章/第1節/7

7 受刑者の移送

1983年,欧州評議会において,外国人受刑者を母国に移送して母国で服役させる制度の創設を内容とする刑を言い渡された者の移送に関する条約が採択された。我が国は,2003年,この条約に加入し,その国内担保法である国際受刑者移送法(平成14年法律第66号)が施行された。なお,アジア地域では,韓国が2005年にこの条約に加入し,我が国と韓国との間でも受刑者の移送が可能になった。2009年の我が国からの送出移送人員は35人であり,これを国籍別に見ると,オランダ9人,韓国6人,米国5人,英国4人,ドイツ3人,イスラエル,ポルトガル,カナダ各2人,ノルウェー,スペイン各1人,これを罪名別に見ると,薬物犯罪28人,強盗5人,放火及び入管法違反各1人(罪名が複数ある場合,法定刑の軽重に従いその最も重いもの一つを計上した。)であった。同年の我が国への受入移送はなかった(法務省矯正局の資料による。)。

さらに,同条約未加入国との間での受刑者の移送を可能とするものとし,2010年8月28日,刑を言い渡された者の移送及び刑の執行における協力に関する日本国とタイ王国との間の条約(平成22年条約第7号)が発効した。このほか,中国との間でも受刑者移送条約の締結交渉を行っている。