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 平成20年版 犯罪白書 第4編/第2章/第1節/2 

2 家庭裁判所における手続の流れ

(1)家庭裁判所の調査と少年鑑別所の鑑別
 家庭裁判所は,検察官等から事件の送致を受けたときは,事件について,調査しなければならず,家庭裁判所調査官に命じて,少年,保護者又は参考人の取調べその他の必要な調査を行わせることができる。また,家庭裁判所は,審判を行うため必要があるときは,観護措置の決定により,少年を少年鑑別所に送致し,その資質鑑別を求めることもできる。
 少年鑑別所は,送致された少年を収容するとともに,医学,心理学,教育学,社会学その他の専門的知識に基づいて少年の資質の鑑別を行う。
 家庭裁判所は,調査の結果,児童福祉法上の措置を相当と認めるときは,事件を都道府県知事又は児童相談所長に送致しなければならない。また,審判に付することができず,又は審判に付することが相当でないと認めるときは,審判不開始決定をして事件を終局させる。審判を開始するのが相当であると認めるときは,審判開始の決定をする。
(2)家庭裁判所の審判
 家庭裁判所における審判は,通常一人の裁判官が取り扱うが,合議体で審判をする旨の決定を合議体でした事件においては,裁判官の合議体でこれを取り扱う。審判は,非公開で行われる。なお,平成20年6月18日に公布された少年法の一部を改正する法律により,家庭裁判所は,故意の犯罪行為により被害者を死傷させた罪及び業務上過失致死傷等の罪の犯罪少年又は12歳以上の触法少年に係る事件(いずれも被害者を傷害した場合にあっては,これにより生命に重大な危険を生じさせたときに限る。)の被害者等から審判の傍聴の申出があった場合,少年の年齢及び心身の状態等を考慮して,少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときは,傍聴を許すことができることとなった。この法律は,一部の規定を除き公布の日(平成20年6月18日)から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行される。
 家庭裁判所は,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪,そのほか死刑又は無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の犯罪少年に係る事件において,その非行事実を認定するための審判の手続に検察官が関与する必要があると認めるときは,決定をもって,審判に検察官を出席させることができる。この場合において,少年に弁護士である付添人がないときは,弁護士である国選付添人を付さなければならない。また,家庭裁判所は,前記の故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪等の犯罪少年又は触法少年に係る事件において,少年の身柄を少年鑑別所に収容する観護措置がとられている場合に,少年に弁護士である付添人がないときは,職権で弁護士である国選付添人を付すことができる。
 なお,家庭裁判所は,保護処分を決定するため必要があると認めるときは,相当の期間,家庭裁判所調査官に少年を直接観察させる試験観察に付することができる。
 家庭裁判所は,審判の結果,保護処分に付することができず,又は保護処分に付する必要がないと認めるときは,不処分の決定をしなければならない。また,児童福祉法上の措置を相当と認めるときは,事件を都道府県知事又は児童相談所長に送致しなければならない。死刑,懲役又は禁錮に当たる罪の事件について,刑事処分を相当と認めるときは,事件を検察官に送致するが,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって,犯行時16歳以上の少年に係るものについては,犯行の動機及び態様,犯行後の情況,少年の性格,年齢,行状及び環境その他の事情を考慮し,刑事処分以外の措置を相当と認めるときを除き,事件を検察官に送致しなければならない。これらの場合以外は,少年を保護処分に付さなければならず,保護観察,児童自立支援施設・児童養護施設送致(18歳未満の少年に限る。)又は少年院送致(おおむね12歳以上の少年に限る。)のいずれかの決定を行う。
 少年,その法定代理人又は付添人は,保護処分の決定に対しては,決定に影響を及ぼす法令の違反,重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときに限り,高等裁判所に対し,2週間以内に,抗告をすることができる(ただし,付添人は,選任者である保護者の明示した意思に反して,抗告をすることはできない。)。他方,検察官は,検察官関与の決定があった事件について,保護処分に付さない決定又は保護処分の決定に対し,非行事実の認定に関し,決定に影響を及ぼす法令の違反又は重大な事実の誤認があることを理由とするときに限り,高等裁判所に対し,2週間以内に,抗告審として事件を受理すべきことを申し立てることができる。