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 平成20年版 犯罪白書 第2編/第4章/第3節 

第3節 未決拘禁者等の処遇

 未決拘禁者は,拘置所又は刑務所若しくは少年刑務所において,受刑者等と分離されて収容される。その処遇は,逃走及び罪証隠滅を防止するとともに,被疑者又は被告人としての防御権を尊重しつつ,適正な収容を確保するよう配慮しながら行われている。居室は,罪証隠滅の防止上支障がある場合には単独室とし,それ以外でも処遇上共同室に収容することが適当と認められる場合を除き,できる限り単独室としている。
 未決拘禁者の場合は,受刑者と異なり,衣類・寝具は自弁が一般的であり,飲食物・日用品も施設の規律秩序の維持その他管理運営上の支障を及ぼすおそれのない限り受刑者よりも広範囲に自弁が認められている。面会については,弁護人等との場合を除いて原則として職員が立ち会い,通信の内容については原則として検査が行われる。これらは,いずれも刑事訴訟法上の制限があるほか,罪証隠滅の結果を生ずるおそれがある場合又は施設の規律・秩序の維持若しくは管理上やむを得ない場合等には,制限を受けることがある。図書,雑誌及び新聞紙の閲読は,罪証隠滅の結果を生ずるおそれがなく,かつ,施設の規律・秩序を害するおそれのない限り許される。
 被勾留者等は,刑事施設に収容することに代えて留置施設に留置することができるとされており(代替収容),起訴されていない段階での被勾留者は留置施設に収容される場合が多い。なお,留置施設に代替収容された者の平成19年度(会計年度)の一日平均収容人員は,1万1,901人であった(法務省矯正局の資料による。)。
 監置に処せられた者に対する処遇は,面会及び通信に制限があるほか,衣類,飲食物等の自弁については,一部認められる場合がある。平成19年における監置場入所者は,4人であった(矯正統計年報による。)。
 死刑の判決が確定した者は,その執行に至るまで,他の被収容者と分離されて刑事施設に拘置される。死刑確定者の処遇は,心情の安定が得られるよう留意されている。また,必要に応じ,民間の篤志家の協力を求め,その心情の安定に資すると認められる助言,講話等の措置を執ることとしている。なお,平成19年12月31日現在,死刑確定者の収容人員は,107人である(矯正統計年報による。)。