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 平成19年版 犯罪白書 第7編/第5章/第2節/1 

1 矯正施設における就労支援

 被収容者が社会復帰後,自立更生する上で,勤労生活を継続できるだけの意欲や能力を体得することは重要である。法務省においては,平成17年5月17日,厚生労働省との連携の下,「刑務所出所者等に対する就労支援対策検討チーム」を発足させ,18年4月から「刑務所出所者等総合的就労支援対策」として,受刑者及び少年院在院者等の就労支援に取り組んでいる(本章第4節3参照)。
 矯正施設における就労支援は,対象者の資質面への働き掛けと就労環境の調整という二つの側面からなる。前者は,職業訓練や改善指導によって就労能力の育成を図るものであり,後者は,ハローワークや雇用主との連携により,具体的な就労先等の確保に向けて支援を行うものである。
 就労支援は,対象者が矯正施設に入所(院)した直後の「刑事施設の刑執行開始時の指導」又は「少年院の新入時教育」によって始められる。刑事施設では,全国42施設で28種目の職業訓練を実施している(平成19年度。第2編第4章第2節2(3)参照)。一方,少年院では,職業訓練を含む職業補導を実施しており,その種目として,溶接,木工,土木建築,建設機械運転,農業,園芸,事務,介護サービス等がある(第4編第2章第4節2(3)イ参照)。
 さらに,就労に役立つ能力開発として,刑事施設では,主として生活技能訓練(SST)によって,就労生活に必要なマナー,コミュニケーションの方法,問題場面への対応能力を習得させるようにしている。