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 平成18年版 犯罪白書 第6編/第3章/第4節/4 

4 再犯防止のためのその他の対策

(1) 受刑者の釈放等に関する情報の提供

 平成17年6月1日,法務省は,警察庁に対し,子供を対象とする暴力的性犯罪を犯した受刑者の出所予定年月日,出所後の所在等に関する情報の提供を開始した。情報提供の対象となる受刑者は,受刑に係る犯罪の被害者が13歳未満で,罪名が強制わいせつ,強姦,わいせつ目的略取・誘拐及び強盗強姦の者等である。刑事施設の長は,当該受刑者が釈放となる場合,釈放予定日のおおむね1か月前に,警察庁に対し,釈放予定者の氏名,釈放予定年月日,入所年月日,帰住予定地その他の参考事項を通知する。18年5月31日までに情報提供した対象者数は,169人であった(法務省矯正局の資料による。)。
 これに加え,平成17年9月1日,法務省は,警察庁に対し,新たに,殺人,強盗等の凶悪重大犯罪及びこれらの犯罪に結び付きやすく再犯のおそれが大きい侵入窃盗,薬物犯罪等に係る出所情報の提供を開始した。法務省は,毎月,警察庁に対し,対象となる受刑者等の刑事施設における入所日,出所(予定)日,出所事由等の出所情報を通知することとなっており,18年5月31日までに情報提供した対象者数は,延べ約1万9,000人であった(法務省矯正局の資料による。)。

(2) 刑務所出所者等に対する就労支援制度

 受刑者の出所後の生活基盤の確保は,その再犯防止の観点から重要である。法務省は,厚生労働省等の関係機関と連携を図り,刑務所等からの出所者に対する就労支援に取り組んでいる。具体的には,刑務所等において,保護観察所及び公共職業安定所等と連携を図りつつ,在所中の支援対象者に対し,特別改善指導の一つである「就労支援指導」のほか,雇用情勢に応じた職業訓練の実施,公共職業安定所職員による職業相談,職業紹介及び職業講話の実施等を行っている。
刑事施設視察委員会
 受刑者処遇法によって新たに設けられた刑事施設視察委員会は,人格識見が高く,かつ,刑事施設の運営の改善向上に熱意を有する者のうちから法務大臣が任命する10人以内の委員で構成されています。刑事施設を視察し,その運営に関し,刑事施設の長に対して意見を述べることができます。刑事施設の運営は,これまでも地域社会における民間協力者等の支援を受けて行われていましたが,新しい委員会の制度を通じて,刑事施設と地域社会との連携が一層深まることが期待されます。