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 平成18年版 犯罪白書 第1編/第1章/第2節/4 

4 詐欺等

 詐欺の認知件数は,平成13年までおおむね横ばい又は減少傾向にあったが,14年以降年々大幅に増加し,17年は昭和35年以降で最多を記録した。他方,検挙率は大幅に低下し続けていたが,17年はやや回復した(前年比2.3ポイント上昇)。
 近時の詐欺の急増要因の一つは,振り込め詐欺の急増である。
 振り込め詐欺・恐喝とは,オレオレ詐欺・恐喝(電話を利用して,親族,弁護士,警察官等を装い,交通事故示談金等の名目で預貯金口座に振り込ませるなどの方法による詐欺又は恐喝事件をいう。),架空請求詐欺・恐喝(郵便,インターネット等を利用して,架空料金を預貯金口座に振り込ませるなどの方法による詐欺又は恐喝事件をいう。)及び融資保証金詐欺(実際には融資しないのに,融資するように装った内容の文書を送付するなどし,融資申込みをした者から保証金等の名目で預貯金口座に振り込ませるなどの方法による詐欺事件をいう。)の総称である。
 平成17年における振り込め詐欺・恐喝の手口別認知件数,被害総額,検挙件数,検挙人員及び検挙率は,1-1-2-4表のとおりである。
 認知件数を手口別に見ると,オレオレ詐欺・恐喝は,公共交通機関での痴漢示談金名目が1,512件と最も多く,次いで,交通事故示談金名目(1,248件)の順であり,架空請求詐欺・恐喝は,有料サイト利用料金名目が2,908件と最も多く,次いで,借金返済・債権回収名目(1,008件)の順であった。
 認知件数は,前年より4,055件(15.8%)減少し,他方,検挙件数は,前年より1,234件(94.6%),検挙人員は,前年より271人(49.5%)増加した。これは,被害防止のための広報啓発活動を行うとともに,振り込め詐欺・恐喝事件に使用される預貯金口座や携帯電話の不正な流通を防止するための取締りを強化するなど,関係機関が,各種対策を進めたことによるものと思われる。
 もっとも,平成17年における振り込め詐欺・恐喝の認知件数は,詐欺・恐喝全体の約22.4%を占めているところ,その検挙率は11.7%と,詐欺・恐喝全体の検挙率(36.0%)や窃盗を除く一般刑法犯の検挙率(40.5%)と比較して低い水準にある。振り込め詐欺・恐喝の発生防止,検挙等は,重要課題といえよう。

1-1-2-4表 振り込め詐欺・恐喝の手口別認知件数・検挙件数・検挙人員・検挙率・被害総額