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 平成17年版 犯罪白書 第4編/第5章/第5節/1 

第5節 重大事犯少年の保護観察

1 保護観察所調査対象者の属性

 調査対象者278人のうち,平成16年9月30日までに,裁判所の決定又は矯正施設からの仮釈放により保護観察に付された者は,86人であった。この86人の保護観察対象者(以下「保護観察所調査対象者」という。)について,17年2月までに,全国の保護観察所に保管されている保護観察事件記録等関係資料に基づき,矯正施設収容中の環境調整の状況,保護観察の実施状況,被害者に関連する指導助言の状況等について調査を行った。
 調査対象者を男女別に見ると,男子74人(86.0%),女子12人(14.0%)であり,犯行時の年齢別に見ると,14歳5人(5.8%),15歳18人(20.9%),16歳19人(22.1%),17歳23人(26.7%),18歳10人(11.6%),19歳11人(12.8%)であった。
 保護観察所調査対象者を非行名・罪名別及び保護観察の種類別に見ると,4-5-5-1表のとおりである。
 保護観察の種類別に見ると,少年院仮退院者58人(67.4%),保護観察処分少年24人(27.9%)であった。重大事犯により検察官に逆送され,起訴されて実刑判決を受け,結果として,刑務所を仮出獄した者が3人,保護観察付き執行猶予となった者が1人であった。
 非行名・罪名別では,傷害致死が70人と最も多く,次いで,殺人(11人),危険運転致死(3人),保護責任者遺棄致死(2人)の順であった。

4-5-5-1表 保護観察の種類別調査対象者

 第1節において,非行類型を用いた分析を行ったが,本節においても,適宜,この非行4類型(集 団型,単独型,家族型及び交通型)を用いて分析を進める。保護観察所調査対象者を非行名・罪名別及び非行類型別に見ると,4-5-5-2表のとおりである。
 集団型が59人(68.6%)と最も多く,次いで,家族型が17人(19.8%)であった。殺人の81.8%が家族型であり,傷害致死の82.9%が集団型であった。

4-5-5-2表 非行類型別調査対象者

 調査時の保護観察の終了及び係属の状況を見ると,保護観察係属中の者が49人(57.0%),あらかじめ定められた期間の満了によって終了した者が23人(26.7%)であり,その余の14人(16.3%)は,保護観察の成績が良好と認められて,保護観察の解除等により期間満了前に保護観察が終了していた。