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 平成17年版 犯罪白書 第4編/第5章/第3節/2 

2 事件及び処分に対する認識

 事件の重大性の認識について,「今回の事件をどのように受け止めていますか」と質問したところ,133人(96.4%)が「重大なものと受け止めている」と回答した。他方,「重大なものと受け止めていない」と回答した4人について見ると,1人が医療少年院在院中で,3人が刑務所在所中であった。なお,1人が無回答であった。
 事件を重大と受け止めていると回答した者に対してのみ,重大性の認識の時期について,「初めて重大と受け止めたのはいつですか」と質問した。本件を初めて重大であると認識した時期は,4-5-3-2図のとおりである。
 少年院在院者(起訴後,家庭裁判所に移送された者を除く。)では,事件直後及び少年院在院中に初めて重大であると認識した者の比率が他の時期と比較して高く,少年院における処遇の効果がうかがわれる。他方,刑務所在所者では,事件直後及びその後の警察段階で初めて重大性を認識した者の比率が他の時期と比較して高かった。

4-5-3-2図 事件を重大と認識した時期

 処分に対する認識について,「あなたが,現在収容されている施設に入ることとなった裁判官の決定を聞いたとき,どのように思いましたか」と質問した。処分に対する認識は,4-5-3-3図のとおりである。
 少年院在院者は,「軽すぎると思った」が35.9%と最も高く,次いで,「適当だと思った」が33.3%であった。他方,刑務所在所者は,「適当だと思った」が41.8%と最も高く,次いで,「軽すぎると思った」が31.6%であった。少年院在院者と刑務所在所者を比較すると,刑務所在所者の方が「重すぎると思った」とする者の比率が高かった。

4-5-3-3図 処分に対する認識

 処分に対して,被害者の家族がどのように感じたかについて,「被害者の家族は,あなたの処分について,どんな気持ちを持っただろうと思いますか」と質問した。処分に対する被害者感情に関する認識は,4-5-3-4図のとおりである。
 少年院在院者,刑務所在所者ともに,被害者家族が少年の処分を「軽すぎると思っただろう」と認識している者が80%以上を占めていた。少年院在院者と刑務所在所者を比較すると,少年院在院者は,被害者家族が少年の処分を「重すぎると思っただろう」と認識している者の比率が5.7%であるのに対し,刑務所在所者は,そのように認識している者がいなかった。

4-5-3-4図 処分に対する被害者感情に関する認識