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 平成17年版 犯罪白書 第4編/第4章/第6節/3 

3 保護観察の終了事由と再処分率

(1) 終了事由

 保護観察終了人員の終了事由別構成比の推移(最近30年間)は,4-4-6-15図のとおりである。
 保護観察処分少年は,保護観察の解除で終了した者の比率が上昇しており,平成16年は75.7%と約4分の3を占めた。同年中に良好停止(保護観察を一時停止させる。)の措置が執られた者は,59人であり,家庭裁判所への通告の措置が執られた者は,30人であった(法務省保護局の資料による。)。
 平成16年の少年院仮退院者は,退院で終了した者19.0%,期間満了によるもの64.2%,戻し収容(保護観察所の長の申出と地方更生保護委員会の申請を経て,家庭裁判所の決定により少年院に再収容する。)・保護処分取消し(再非行・再犯により新たな処分を受けたため,以前の処分が取り消される。)16.5%であり,この比率は,最近10年間でほとんど変化がない。なお,同年の戻し収容は,10人であった(保護統計年報による。)。

4-4-6-15図 保護観察終了人員の終了事由別構成比の推移

(2) 再処分率

 保護観察終了人員のうち,保護観察期間中に再度の非行・犯罪をして保護処分(戻し収容を除く。)又は刑事処分を受けた者の比率(以下「再処分率」という。)の推移(昭和54年以降)は,4-4-6-16表のとおりである。
 再処分率は,保護観察処分少年,少年院仮退院者ともに,平成8年まではおおむね低下傾向であったが,保護観察処分少年は,9年以降上昇して10%台後半で推移し,16年は18.5%であった。少年院仮退院者は,おおむね20%台前半で推移しており,同年は24.5%であった。

4-4-6-16表 保護観察終了人員の再処分率

 平成16年の保護観察終了人員の保護観察受理時非行名別の再処分率は,4-4-6-17図のとおりである。
 再処分率が高い非行名は,保護観察処分少年では,毒劇法違反(23.3%),虞犯(23.1%),窃盗(22.5%)の順であり,少年院仮退院者では,虞犯(34.8%),窃盗(32.1%),恐喝(25.8%)の順であった。また,保護観察受理時非行名と同じ非行名・罪名での再処分率が高いのは,保護観察処分少年では,窃盗(10.6%),毒劇法違反(7.1%)であり,少年院仮退院者では,窃盗(14.1%),道路交通法違反(8.0%)であった。

4-4-6-17図 保護観察終了人員の保護観察受理時非行名別の再処分率