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 平成17年版 犯罪白書 第4編/第4章/第1節/2 

2 少年法等の一部を改正する法律案

 少年非行の現状に適切に対処するため,平成17年3月,第162回国会に少年法等の一部を改正する法律案が提出されたが,同年8月,衆議院の解散により廃案となった。
 同法律案は,少年法(昭和23年法律第168号),少年院法(昭和23年法律第169号),犯罪者予防更生法(昭和24年法律第142号)等を改正し,[1]触法少年及び虞犯少年に係る事件の調査手続の整備として,触法少年の事件について警察官による任意調査及び押収等の強制調査等の手続を,虞犯少年の事件について警察官による任意調査の手続をそれぞれ整備すること,警察官は,調査の結果,家庭裁判所の審判を相当とする一定の事由に該当する事件については児童相談所長に送致しなければならないものとすること,児童相談所長等は,一定の重大事件に係る触法少年の事件については,原則として家庭裁判所送致の措置をとらなければならないものとすること,[2]14歳未満の少年の保護処分の多様化として,14歳未満の少年についても,家庭裁判所が特に必要と認める場合には,少年院送致の保護処分をすることができるものとすること,[3]保護観察に付された者に対する指導を一層効果的にするための措置等の整備として,遵守事項を遵守しなかった保護観察中の者に対し,保護観察所の長が警告を発することができることとした上,それにもかかわらず,なおその者が遵守事項を遵守せず,保護観察によってはその改善更生を図ることができないと認めるときは,家庭裁判所において少年院送致等の決定をすることができるものとすること,少年院及び保護観察所の長が保護処分中の少年の保護者に対し指導,助言等をできるものとすること,[4]一定の重大事件について,少年鑑別所送致の観護措置がとられている場合において,少年に弁護士である付添人がないときは,家庭裁判所が職権で少年に弁護士である付添人を付することができることとすることなどを内容とするものである。