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 平成17年版 犯罪白書 第4編/第3章/第2節/1 

1 非行少年の質的変化と処遇の困難化の認識

 最近の非行少年の質的変化に関する少年院教官の認識は,4-3-2-1図のとおりである。
 最近,非行少年の抱えている問題の中身が「変化した」(「かなり変化したと思う」及び「やや変化したと思う」の合計。)と認識している者が60%を超えている。

4-3-2-1図 最近の非行少年は変化したか(少年院教官調査)

 最近の非行少年処遇において,困難化している問題に関する少年院教官の認識は,4-3-2-2図のとおりである。
 「資質の問題」とする比率が38.8%と最も高く,次いで,「親の指導力の問題」(24.4%),「家族関係の問題」(14.2%),「規範意識の問題」(7.9%),「学校・職場・地域社会との関係の問題」(6.3%),「交友関係の問題」(3.3%)の順であった。

4-3-2-2図 困難化している問題は何か(少年院教官調査)

 最近の非行少年処遇の難易についての少年院教官の認識は,4-3-2-3図のとおりである。
 処遇の難しい非行少年が「増えた」(「かなり増えたと思う」及び「やや増えたと思う」の合計。)とする比率は,70%を超えている。

4-3-2-3図 処遇困難な非行少年が増えたか(少年院教官調査)

 非行少年の処遇に直接携わっている少年院教官の認識では,最近の非行少年の中身に変化が見られ,その処遇が困難になっていると受け止められている。少年院教官調査の結果,特に,困難度が増している問題として,少年の資質の問題のほか,親の指導力及び家族関係といった家庭の問題が指摘された。
 非行少年調査及び保護者調査においても,非行原因として,非行少年自身の問題及び家族の問題が上位に挙げられていた。他方,両調査で,非行原因の二番目に挙げられていた友人の問題が,少年院教官調査では,六番目と低く認識されていた。これは,少年院教官が,友人の問題を非行少年自身の対人スキル等の資質面の問題ととらえやすいことを反映していると思われる。
 しかし,非行少年が社会復帰後に,社会の中で更生するためには,不良交友をいかに絶つか,学校・職場・地域社会の中にいかに適応していけるかが重要であることから,以下では,非行少年の資質,家族関係等に対する少年院教官の認識だけでなく,交友関係,地域社会等との関係も含めて,少年院教官の認識を見る。