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 昭和39年版 犯罪白書 第一編/第四章/三/2 

2 外国人犯罪の概況

 最近における外国人犯罪のすう勢を検察庁の新規受理人員によってみると,I-62表の示すとおりである。総数においては,昭和三四年を底として,昭和三五年,三六年の両年は若干増加し,昭和三七年に至って,さらに大きく増加しているが,これは,主として道路交通法令違反の急増(これは外国人についてのみの現象ではなく,日本人一般についても同様である)によるものであって,日本人を含めた全被疑者数に対する割合では,減少しつつあると認められる。そして,刑法犯および特別法犯のそれぞれについてみると,前者は,総数および全被疑者数に対する割合のいずれもが激減の傾向にあり,後者にあっても,総数こそ増加しているが,全被疑者数に対する割合では,やはり減少しているのであって,これらを総合すれば,外国人犯罪は大勢としては,減少の傾向を示しているとみてさしつかえないと思われる。

I-62表 外国人犯罪の検察庁新受人員(昭34〜37年)

 次に,昭和三七年における外国人被疑者数と全被疑者数を,罪種別に対照してみると,I-63表のとおりで,刑法犯においては,賍物関係が引続き,総数における比率を極端に上回っており,その他公務執行妨害,とばく,富くじ,傷害,強盗致死傷,強盗強かん,恐かつ等が高率を示している。特別法犯においては,道路交通法令違反等若干のものを除いては,いずれも全被疑者数中,外国人被疑者数の占める割合は相当高く,外国人登録法および出入国管理令の各違反は,法令の規制内容の性質上,その大部分が外国人によって占められることは当然であろうし,また,外国人為替および外国貿易管理法,関税法等の各違反において,高率を示すことも一応うなずけるが,たばこ専売法違反を筆頭に,酒税法や覚せい剤取締法等の各違反の相当の部分が,外国人によって犯されていることは注目すべきであろう。

I-63表 外国人被疑者の検察庁新受人員等(昭和37年)