前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成16年版 犯罪白書 第5編/第5章/第1節/3 

3 社会内処遇に固有の要素

 保護観察は,社会内の様々な要因や刺激の影響を受ける環境の下で実施されるため,施設内処遇とは異なった面を持っている。
 その中で主要なものを挙げると,第1に,家族関係や交友関係の重要性を指摘することができる。家族に支えられ,良い交友関係に恵まれれば,改善更生・社会復帰に向けて大きな励みになるが,家族との関係がうまくいかずに自暴自棄になったり,暴力団関係者や覚せい剤仲間等との交友関係が再開してしまうこともある。その意味で,家族関係及び交友関係は,更生のための促進要因となることも阻害要因となることもある。第2に,飲酒,薬物,ギャンブルなどの問題を抱える保護観察対象者については,欲すればアルコールや薬物を入手することができ,また,ギャンブルの誘惑が存在する環境の中で,どのようにしてその誘惑を克服していくかが重要な課題となる。第3に,就労の問題がある。保護観察対象者の多くは,自ら生計を立てていかなければならない立場にあり,就労は,改善更生の成否を握る鍵となる。他方で,それは景気や雇用情勢の影響を受けやすく,必ずしも思いどおりにならない点に難しさがある。第4に,場所的移動が容易であるということも大きな要素である。特に近年,交通手段や通信手段の飛躍的発展に伴って,保護観察対象者の交友範囲や行動範囲も拡大しており,その生活状況を適切に把握し,指導監督を実施していく上で,新たな難しさを生じさせている。
 保護観察対象者の動向を見るに当たっては,仮出獄者と保護観察付き執行猶予者に関する制度上の違いのほか,これら社会内処遇に固有の要素を念頭に置く必要がある。