前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成16年版 犯罪白書 第4編/第1章/第5節/3 

3 家庭と学校における非行

(1) 家庭内暴力

 4-1-5-4図は,最近10年間における家庭内暴力に係る少年の学職別の状況を見たものである。少年による家庭内暴力の認知件数は,平成7年以降増加傾向にあり,12年に1,386件(前年比48.9%増)と急増したが,13年以降減少傾向を示しており,15年は1,154件(同10.6%減)であった。学職別で最も高い比率を占めるのは中学生であり,同年では38.2%を占めている。

4-1-5-4図 家庭内暴力事犯少年の学職状況

 平成15年における家庭内暴力の対象を見ると,母親が595件(51.6%)と最も多く,次いで,物(家財道具等)が179件(15.5%),父親が155件(13.4%),同居の親族が133件(11.5%),兄弟姉妹が63件(5.5%),その他が29件(2.5%)である(警察庁生活安全局の資料による。)。

(2) 校内暴力

 4-1-5-5図は,平成6年以降における校内暴力事件の検挙・補導状況の推移を見たものである。検挙・補導の件数及び人員ともに13年以降減少していたが,15年は共に増加し,件数は716件(前年比6.1%増),人員は1,019人(同1.7%増)となった。検挙人員の中では,いずれの年次も中学生が圧倒的多数を占めている。

4-1-5-5図 校内暴力事件の検挙・補導状況

(3) いじめと非行

 法務省では,平成6年に,子どもの人権問題を専門的に取り扱う子どもの人権専門委員制度を設け,16年7月1日現在,計690人の専門委員を全国の法務局・地方法務局に配置し,いじめに悩む人々に対する相談活動を行い,いじめ解消のための適切な処置を講ずることとしている(法務省人権擁護局の資料による。)。
 文部科学省初等中等教育局の資料によれば,平成15年度(会計年度)に公立小学校・中学校・高等学校・特殊教育諸学校において発生したいじめの件数は2万3,351件(前年比5.2%増)である。これを態様別(重複計上による延べ数3万2,362件)に見ると,最も件数の多かったものは,「冷やかし・からかい」の1万203件(31.5%)であり,次いで,「言葉での脅し」5,841件(18.0%),「暴力を振るう」4,866件(15.0%),「仲間はずれ」4,451件(13.8%)となっている。一口にいじめといっても,その態様は様々で,必ずしもすべてが刑事司法手続の対象とされるわけではない。また,行為の性質上,実態を把握しにくいのが実情である。
 いじめに起因する事件の件数及び検挙・補導人員を見ると,いずれも昭和60年の638件,1,950人をピークに減少し,平成15年は106件,229人となったが,106件の内訳は,いじめによる事件が99件,被害少年が仕返しとして起こした事件が7件である(警察庁生活安全局の資料による。)。