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 平成16年版 犯罪白書 第2編/第3章/第2節/3 

3 上訴審

 平成15年の通常第一審の終局裁判に対する控訴率を見ると,地方裁判所では11.6%,簡易裁判所では5.6%となっており,前年と同水準である。15年の高等裁判所における控訴事件の終局処理人員は8,875人で,これを受理区分別に見ると,被告人側のみの控訴申立てによるものが8,660人,検察官のみの控訴申立てによるものが163人,双方からの控訴申立てによるものが51人,「破棄差戻し・移送」によるものが1人となっている(司法統計年報による。)。
 2-3-2-4表は,平成15年における高等裁判所の控訴審としての終局処理人員を,罪名別・終局処理区分別に見たものである。

2-3-2-4表 罪名別控訴審終局処理人員

 控訴棄却が最も多く,全体の65.5%を占め,次いで,取下げが19.5%,破棄自判が14.6%となっている。
 高等裁判所における破棄理由を見ると,破棄人員総数1,310人中,判決後の情状によるものが798人で最も多く,次いで,量刑不当328人,事実誤認115人の順となっている。破棄自判の結果,第一審の裁判が覆って無罪となった者は,12人であり,控訴審終局処理総人員の0.1%であった(司法統計年報による。)。
 平成15年において,検察官が第一審の無罪判決を不服として控訴した32人の被告人のうち25人については,第一審判決が覆されて有罪となっている(検察統計年報による。)。
 平成15年に言い渡された控訴審判決に対する上告率は44.2%であり,第一審の終局裁判に対する控訴率よりも高い。最高裁判所の上告事件の新規受理人員は2,761人であり,終局処理人員は2,783人で,その内訳は,上告棄却2,159人(77.6%),取下げ609人(21.9%),公訴棄却9人,破棄自判5人及び「破棄差戻し・移送」1人であった(司法統計年報による。)。