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 平成16年版 犯罪白書 第1編/第1章/第5節/4 

4 倒産関連事犯

 1-1-5-8図は,最近10年間における強制執行妨害,競売入札妨害(刑法96条の3第2項に規定する談合を含む。)及び破産法(大正11年法律第71号)違反の検察庁新規受理人員の推移を見たものである。

1-1-5-8図 強制執行妨害・競売入札妨害・破産法違反の検察庁新規受理人員の推移

 1-1-5-9表は,最近5年間の検察庁における強制執行妨害,競売入札妨害(刑法96条の3第2項に規定する談合を含む。)及び破産法違反の処理について,それぞれ起訴・不起訴人員等の推移を見たものである。
 平成15年における起訴人員の内訳は,強制執行妨害では16人が公判請求,競売入札妨害では98人が公判請求,30人が略式命令請求,破産法違反では6人が公判請求となっている(検察統計年報による。)。
 なお,平成15年には,民事再生法(平成11年法律第225号)違反により4人が公判請求されている(検察統計年報による。)。

1-1-5-9表 強制執行妨害・競売入札妨害・破産法違反の起訴・不起訴人員

 これらの倒産関連犯罪は,不良債権の回収をめぐって発生することが多い。特に破綻金融機関における不良債権の回収は,我が国の経済における大きな問題の一つになっており,預金保険法(昭和46年法律第34号)及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成10年法律第132号)に基づき,株式会社整理回収機構(以下「整理回収機構」という。)が破綻金融機関その他の金融機関から不良債権を買い取り,その回収等を行っている。
 破綻金融機関における不良債権の回収等に関連する犯罪に関しては,刑事責任の追及を厳格に行うため,整理回収機構等の役職員に対し,告発に向けて所要の措置をとる義務が課されている。平成15年度(会計年度)において,整理回収機構等では,21件(50人)について告発を行っている。その内訳は,詐欺が7件(17人),競売入札妨害が5件(13人),強制執行妨害が4件(11人),電磁的公正証書原本不実記録が3件(7人),破産法違反が1件(1人),有印私文書偽造が1件(1人)である(預金保険機構の資料による。)。