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 平成15年版 犯罪白書 第5編/第3章/第6節/4 

4 高齢者の自宅での被害動向

 5―3―6―23図は,殺人・強盗の被害者が自宅において被害に遭った件数及び全体に対する自宅比の推移を高齢者(本項では65歳以上とする。)とそれ以外とで対比して見たものである。
 殺人については概して変化が少ない。64歳以下の層については,自宅以外での被害件数がわずかに増加傾向で,自宅比は50%前後から40%前半程度までやや低下している。65歳以上では自宅での被害がやや増加傾向にあるが,自宅以外での被害も増加しているため,自宅比は70%前後で最近やや低下ぎみである。
 強盗については,64歳以下の層では,自宅での被害はやや増加しているが,自宅以外での被害がそれをはるかに上回って増加しているため,自宅比は平成元年以降低下傾向にあり,同年は25.4%であったものが,14年には10.1%と半分以下に低下している。これは主として路上強盗を中心とする非侵入強盗及び店舗・事務所等自宅以外での侵入強盗の被害が増加したためである。これに対して,65歳以上では,自宅以外での被害とともに自宅での被害も同様に増加しており,平成14年には,自宅以外での被害件数が元年の6.5倍に,自宅での被害が同年の4.1倍に達している。そのため,自宅比は64歳以下の層と異なり37.4〜53.9%の間で上下しつつもほぼ横ばい傾向にある。65歳以上については自宅以外の路上等で強盗の被害に遭うことばかりでなく,自宅にいながら侵入強盗等のより凶悪な強盗の被害に遭うことも少なくないと考えられる。

5―3―6―23図 殺人・強盗認知件数・被害者自宅比の推移