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 平成15年版 犯罪白書 第4編/第1章/第4節/5 

5 いじめと非行

 法務省では,平成6年に,子どもの人権問題を専門的に取り扱う子どもの人権専門委員制度を設け,15年7月1日現在,計690人の専門委員を全国の法務局・地方法務局に配置し,いじめに悩む人々に対する相談活動を行い,いじめ解消のための適切な処置を講じている。
 文部科学省初等中等教育局の資料によれば,平成13年(会計年度)に公立小学校・中学校・高等学校・特殊教育諸学校において発生したいじめの件数は2万5,037件(前年比19.0%減)である。これを態様別(重複計上による延べ数3万4,817件)に見ると,最も件数の多かったものは,冷やかし・からかいの1万684件(30.7%)で,次いで,言葉での脅し6,381件(18.3%),暴力を振るう5,394件(15.5%),仲間はずれ4,915件(14.1%)となっており,一口にいじめといってもその態様は様々で,必ずしもすべてが刑事司法手続の対象とされるわけではない。また,行為の性質上,実態を把握しにくいのが実状である。
 いじめに起因する事件の件数及び検挙・補導人員を見ると,いずれも昭和60年の638件,1,950人をピークに,長期的には減少し,平成14年は94件,225人となっている(警察庁生活安全局の資料による。)。このうち,いじめによる事件が89件,被害少年が,仕返しとして起こした事件が5件である。