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 平成15年版 犯罪白書 第3編/第2章/第2節/2 

2 自動車損害賠償保障制度

 自動車損害賠償保障法は,自動車事故の急激な増加に伴う被害者の保護の万全を期し,自動車損害賠償保障制度を確立するため,昭和30年7月29日に公布され,同年8月から31年2月にかけて施行された。
 同法は,自動車の運行によって,人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより被害者の保護を図ることなどを目的としており,同法による自動車損害賠償保障制度は,被害者救済制度の一環としてとらえることができる。自動車損害賠償保障制度の中核となっているのは,自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という。)及び自動車損害賠償責任共済(以下「自賠責共済」という。)である。
 さらに,自賠責保険及び自賠責共済を補完するものとして,政府が行っている自動車損害賠償保障事業がある。これは,いわゆるひき逃げや無保険車による事故の場合,自賠責保険や自賠責共済では被害者が救済を受けられないため,政府が被害者に対して損害額をてん補するものであり,そのてん補の額は自賠責保険に準じている。平成13年(会計年度)の保障事業による保障金の支払い状況(ひき逃げ3,574人及び無保険591人)を見ると,支払額は死者1人当たり平均約2,169万円,負傷者1人当たり平均約51.1万円である(国土交通省自動車交通局の資料による。)。