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 平成15年版 犯罪白書 第2編/第4章/第2節/3 

3 新受刑者の特徴

(1) 年齢

 2―4―2―4図は,平成14年の新受刑者について,男女・年齢層別構成比を見たものである。

2―4―2―4図 新受刑者の男女・年齢層別構成比

 平成14年の新受刑者中に占める60歳以上の受刑者は,2,604人(男子2,437人,女子167人)であり(うち,65歳以上は1,097人(男子1,023人,女子74人)),新受刑者全体の8.6%となっている。これを平成5年と比べると,新受刑者中に占める60歳以上の受刑者数は約2.3倍になっており,新受刑者全体に占める割合は,3.4ポイント上昇している。
 2―4―2―5図は,60歳以上の新受刑者の年齢層別内訳の推移を見たものである。
 なお,平成14年12月31日現在における受刑者のうち,60歳以上の者は5,870人(うち,70歳以上は1,039人)であり,受刑者全体の10.3%を占めるに至っている。

2―4―2―5図 60歳以上の新受刑者の年齢層別内訳の推移

(2) 罪名

 平成14年における新受刑者の罪名のうち,構成比の高いものを男女別にそれぞれ上位5位まで見ると,男子では,[1]窃盗(27.4%),[2]覚せい剤取締法違反(22.2%),[3]詐欺(7.1%),[4]道路交通法違反(6.8%),[5]傷害(6.3%)の順であり,女子では,[1]覚せい剤取締法違反(41.8%),[2]窃盗(22.2%),[3]詐欺(8.4%),[4]殺人(4.3%),[5]道路交通法違反(3.7%)の順である(巻末資料2―7参照)。
 男子は,前年に引き続き窃盗が最も高く,次いで覚せい剤取締法違反となっており,平成10年以降この傾向が続いている。
 女子は,昭和53年に覚せい剤取締法違反が窃盗を上回り,以後第1位を保っており,56年には過半数(50.5%)を占めるに至り,平成9年までこの傾向が続いた。その後覚せい剤取締法違反の構成比は低下する傾向にあり,14年は前年と比べて4.6ポイント低下した。

(3) 刑名及び刑期

 平成14年における新受刑者の刑の種類について見ると,99.1%(3万3人)は懲役であり,次いで,禁錮0.8%(230人),拘留0.1%(42人),死刑(執行人員)0.01%(2人)である。
 2―4―2―6図は,平成10年から14年における新受刑者中の懲役受刑者の刑期別構成比を示したものである。各年とも刑期が1年を超え2年以下の者の占める割合が最も高いが,2年を超える者の割合が漸増傾向にある。
 なお,年末在所懲役受刑者の刑期別収容人員の推移は巻末資料2―11のとおりである。

2―4―2―6図 懲役新受刑者の刑期別構成比の推移

(4) 初入受刑者の比率の推移

 2―4―2―7図は,新受刑者に占める初入者(裁判の確定により初めて行刑施設に入所した者をいう。)の比率の推移を見たものである。平成5年には新受刑者に占める初入者の比率は37.6%であったが,13年には50.2%と半数を超え,14年には更に上昇し,50.9%となった。

2―4―2―7図 初入受刑者の比率の推移

(5) 初入受刑者の執行猶予歴及び保護処分歴

 2―4―2―8図は,平成14年における新受刑者中の初入者1万5,402人の執行猶予歴及び保護処分歴の内訳を見たものである。

2―4―2―8図 初入受刑者の執行猶予歴・保護処分歴

(6) 入所度数

 平成14年の新受刑者のうち,再入受刑者(新受刑者のうち入所度数が2度以上に及ぶ者)の比率は49.1%であり,男子が50.2%,女子が30.4%となっている。この再入受刑者を罪名別構成比で見ると,男子では窃盗(31.2%)が,女子では覚せい剤取締法違反(51.4%)が最も高くなっている。また,入所度数5度以上の新受刑者は総数の19.2%(5,803人)であり,罪名別に入所度数5度以上の者の占める比率を見ると,暴力行為等処罰法違反が35.1%,脅迫が32.0%,住居侵入が31.2%となっている(巻末資料2―8及び2―9参照)。