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 平成15年版 犯罪白書 第1編/第5章/第3節 

第3節 日本人の国外における被害

 在外公館が邦人保護事務を通じて把握した日本人の国外における犯罪被害状況を見ると,平成14年は,件数が7,109件(前年比10.6%減),人員が8,219人(前年比8.1%減)となっている(外務省大臣官房領事移住部の資料による。)。
 1―5―3―1図は,平成14年における,日本人の国外における犯罪被害状況の犯罪類型別構成比を見たものである。その内訳を見ると,被害の大半は窃盗で,総件数の76.5%(5,439件)を占め,強盗14.4%(1,023件),詐欺5.3%(375件)がこれに続いている。
 これを被害地域別に見ると,ヨーロッパ地域の41.6%(2,955件),アジア地域の31.8%(2,258件),北アメリカ地域の13.0%(927件)の順である。この三つの地域について,被害内容を見ると,ヨーロッパ地域では,窃盗83.6%(2,471件),強盗13.9%(411件),詐欺1.5%(43件),アジア地域では,窃盗67.7%(1,528件),強盗13.3%(300件),詐欺12.3%(278件),北アメリカ地域では,窃盗87.8%(814件),強盗6.1%(57件),詐欺1.7%(16件)の順となっている。
 また,犯罪被害による死亡者数は,平成4年以降(6年までは会計年度,7年以降は暦年),10人台から20人台で推移しており,14年には28人となっている。一方,傷害・暴行,強盗等の犯罪被害による負傷者数は,14年には325人と5年の98人の約3.3倍に増加した。
 なお,交通の発達により国際的な人の移動が日常化し,日本国外において日本国民が犯罪の被害に遭う機会が増加している状況等にかんがみ,日本国外において日本国民に対して殺人,強盗等の生命・身体等に対する一定の重大な罪を犯した日本国民以外の者に刑法等を適用することとする国外犯処罰規定を設ける刑法の一部を改正する法律が平成15年第156回国会において成立し,同年7月18日,法律第122号として公布された。

1―5―3―1図 日本人の国外における犯罪被害状況の犯罪類型別構成比