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 平成15年版 犯罪白書 第1編/第2章/第2節/5 

5 外国人犯罪者に対する矯正及び更生保護

(1) 矯正

 平成14年の外国人新受刑者は1,967人であり,前年と比べ,105人(5.6%)増加している(矯正統計年報による。)。外国人受刑者のうち,日本人と異なる処遇を必要とする者は収容分類級F級に分類され,適切な処遇が行われる。1―2―2―12図は,最近10年間におけるF級新受刑者数の推移を見たものである。F級新受刑者は10年以降急増しており,14年は1,303人で,5年(245人)の5倍以上となっている。
 最近3年間におけるF級新受刑者を国籍等別に見ると1―2―2―13表のとおりである。3年間を通じて中国が最も多く,次いで,イランとなっている。また,ブラジル国籍のF級新受刑者は,平成12年78人,13年101人,14年132人と急増し,13年以降は韓国・朝鮮を抜いて3番目となっており,今後の動向が注目される(法務省大臣官房司法法制部の資料による。)。
 平成14年のF級新受刑者の罪名別人員は,窃盗が446人(34.2%)で最も多く,次いで,入管法違反203人(15.6%),覚せい剤取締法違反178人(13.7%),強盗165人(12.7%),住居侵入36人(2.8%),麻薬取締法違反29人(2.2%),殺人27人(2.1%)等の順となっている。
 平成14年12月31日現在のF級受刑者数は,2,638人(男子2,453人,女子185人)であり,前年同日現在より323人(14.0%)増加している(矯正統計年報による。)。

1―2―2―12図 F級新受刑者数の推移

1―2―2―13表 F級新受刑者の国籍等別人員

(2) 更生保護

 平成14年における来日外国人の保護観察対象者の新規受理人員は,前年(1,217人)とほぼ同水準の1,203人である。これを保護観察の種類別に見ると,仮出獄者(922人)が最も多く,以下,保護観察処分少年(186人),少年院仮退院者(64人),保護観察付き執行猶予者(31人)の順となっている(保護統計年報による。)。
 法務省保護局の資料により,最近10年間における保護観察係属中の外国人人員(永住者・特別永住者を除く。)の推移を見ると,1―2―2―14図のとおりである。外国人の保護観察係属人員は一貫して増加しており,平成14年は,前年より65人(5.5%)増加して1,243人となっている。

1―2―2―14図 保護観察係属中の外国人人員の推移

 1―2―2―15表は,平成12年から14年の各年12月末日現在において保護観察係属中の外国人(永住者・特別永住者を除く。)について,国籍等別及び保護観察の種類別の人員を見たものである。アジア地域出身者が最も多く,次いで,アメリカ地域出身者となっており,この両者で総数の9割を超えている。14年について,国籍等別に見ると,中国(台湾を含む。)が400人で最も多く,次いで,ブラジル(270人),イラン(117人),韓国・朝鮮(76人),フィリピン(64人)等となっている。これらの中では,ブラジル国籍の保護観察処分少年及び少年院仮退院者が合計206人と非常に多くなっているのが注目される。

1―2―2―15表 保護観察係属中の外国人国籍等別人員