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 平成14年版 犯罪白書 第5編/第3章/第2節/1 

第2節 裁判所における処理状況

1 殺人及び暴力的9罪種の科刑状況

 5-3-2-1図は,殺人及び暴力的9罪種の通常第一審における科刑状況を見たもの,5-3-2-2図は,そのうちの執行猶予率を見たものである。

5-3-2-1図 通常第一審における罪種別科刑状況の推移

5-3-2-2図 通常第一審における罪種別執行猶予率の推移

 裁判所における量刑は,殺人,強盗及び強姦を除き,実刑,執行猶予判決ともに,言い渡し刑が長期化する傾向が見られると同時に,執行猶予率もおおむね横ばいもしくは上昇傾向にある。これに対して,殺人及び強盗では,執行猶予率はおおむね横ばいの傾向にあり,執行猶予判決の量刑にも大きな変動は認められない。しかし,実刑判決の量刑は長期化の傾向がみられる。
 強姦では,執行猶予判決,実刑判決ともに,言い渡し刑は長期化傾向を示している上に,執行猶予率は低下の傾向にある。この性犯罪は被害者の人権を甚だしく損ね心身に与える被害も甚大であり,犯人の厳罰化を求める世論の高まりとともに,検察官の求刑や裁判官の判決が重罰化していることがうかがわれる。
 法定刑が軽い住居侵入と器物損壊でも,わずかながら刑の長期化が認められ,1年以上の刑期が増加している。器物損壊においては,平成10年以降,刑の長期化が顕著であり,認知件数の急増に対応している。