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 平成14年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/(5) 

(5) 公判

 被害者が証人として,被告人の面前では圧迫を受け充分な供述をすることができないと認められるときや,特定の傍聴人の面前で充分な供述ができないと認められるときは,被告人や特定の傍聴人を退廷させることができる。また,裁判所が裁判官の全員一致で,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には,裁判の審理を非公開とすることができる。さらに,必要があれば裁判所外での尋問や公判期日外の証人尋問を行うこともできる。また,前記刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律により,裁判所は,証人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは,適当と認める者を,証人の供述中,証人に付き添わせることができ,証人が被告人の面前で供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されると認める場合には,被告人と証人との間で,一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置(遮へい措置)を採ることができるものとされたほか,強姦罪等の被害者等を証人として尋問する場合において,裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所以外の場所に証人を在席させ,映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話する方法(ビデオリンク方式)によって尋問することもできるものとされた。
 この他,証人等の氏名及び住居を知る機会を与え又は証拠書証等を閲覧する機会を与えるに当たり,証人等の身体,財産に害を加え又は証人等を畏怖させる行為がなされるおそれがある場合には,検察官又は弁護人は,相手方に対し,証人の氏名及び住居を被告人を含む関係者に知られないようにすることその他証人等の安全が脅かされることがないように配慮することを求めることができる。
 また,前記刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律により,裁判所は,被害者等から被害に関する心情その他の被告事件に関する意見陳述の申出があるときは,公判期日において,その意見を陳述させるものとされた。
 さらに,前記犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律により,刑事被告事件の係属する裁判所の裁判長は,被害者等から裁判の傍聴の申出がある時は,傍聴できるよう配慮しなければならないものとされた。