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 平成14年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/(4) 

(4) 検察審査会

 検察審査会は,全国に201か所設置されており,選挙人名簿を基にくじで選ばれた者11人の検察審査員(任期6か月)をもって組織される。申立てにより又は職権で,検察官の不起訴処分の審査を行い,「起訴相当」,「不起訴不当」又は「不起訴相当」の議決を行う。この審査申立権を有する者は,告訴人,告発人,請求人又は被害者に限られていたが,前記刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律により,被害者が死亡した場合においては,その配偶者,直系の親族又は兄弟姉妹が審査申立権を有するものとされたほか,同改正において,審査申立人は,検察審査会に意見書又は資料を提出することができるものとされた。検察審査会の議決に法的拘束力はないが,起訴相当又は不起訴不当の議決があった場合,検事正は,議決を参考にし,公訴を提起すべきものと考えるときには,起訴の手続をしなければならない。
 3-2-1-1表は,平成3年から12年までの間における検察審査会の事件の受理・処理状況を見たものである。5年に新受・処理人員が多かったのは,多数の市民により告発がなされた国会議員の寄付金に係る政治資金規正法違反事件関係の申立て(4万305人)が含まれていたことによる。

3-2-1-1表 検察審査会事件受理・処理人員

 平成12年の新受人員のうち,刑法犯は1,672人であり,罪名別に見ると,業務上過失致死傷が449人で最も多く,以下,文書偽造245人,職権濫用168人,傷害・同致死147人,詐欺124人等となっており,特別法犯は208人で,公職選挙法違反の62人が最も多く,次いで,労働基準法違反及び商法違反の各26人となっている(最高裁判所事務総局刑事局の資料による。)。
 さらに,起訴相当又は不起訴不当の議決がなされた事件について,検察庁が執った原不起訴理由別事後措置は,3-2-1-2表のとおりである。

3-2-1-2表 起訴相当・不起訴不当議決事件の原不起訴理由別事後措置

 なお,検察審査会法の施行後の昭和24年から平成12年までの間,累計で,延べ13万3,777人の処理がなされ,延べ1万6,216人の起訴相当又は不起訴不当の議決がなされている。このうち延べ1,111人が起訴されて,967人(自由刑338人,罰金629人)が有罪になっており,無罪(免訴及び公訴棄却を含む。)を言い渡された者は76人である(最高裁判所事務総局刑事局の資料による。)。