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 平成14年版 犯罪白書 第2編/第5章/第2節/3 

3 各種の施策

(1) 仮釈放準備調査制度

 地方委員会が仮釈放の申請を受理する前であっても,仮釈放審理の充実及び本人のより円滑な社会復帰を図ることを目的として,地方委員会事務局の保護観察官を矯正施設へ出向かせ,本人と面接の上,社会復帰上の問題点を把握させるとともに,必要な措置等について矯正施設の職員と協議を行わせる仮釈放準備調査が実施されている。平成13年に同調査を実施した人員は,受刑者3万175人と少年院在院者9,657人の合計3万9,832人で,前年と比べ1,899人増加している(法務省保護局の資料による。)。
 なお,この仮釈放準備調査を一層充実させるために,地方委員会事務局の保護観察官を行刑施設に駐在させる施設駐在官制度が,現在,10庁の大規模な刑務所において実施されている。

(2) 長期刑受刑者に対する仮出獄審理の充実強化

 行刑施設に長期にわたり収容される者は,一般的に,凶悪・重大な犯罪を犯しているため厳しい社会的批判を受けており,また,資質,環境等の面で問題のある者が少なくない。このため地方委員会では,無期刑受刑者を含む,執行すべき刑期が8年以上の長期刑受刑者の仮釈放審理に当たっては,本人の心身の状況,被害者感情を始めとする関係事項について特に周到な調査と審理を尽くすとともに,本人に対する指導・助言,帰住予定地の環境調整等に格別の配慮をしている。
 これらの者に対しては,地方委員会事務局の保護観察官による仮釈放準備調査をできるだけ早期に開始し,これを定期的に実施するとともに,主査委員による複数回の面接や複数委員による面接を行うなど,特に慎重な審理を行っている(長期刑仮出獄者に対する保護観察については,本章第3節3(3)参照)。