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 平成14年版 犯罪白書 第2編/第5章/第2節/1 

第2節 仮釈放

1 仮釈放の概要

(1) 仮釈放の種類

 仮釈放は,行刑施設,少年院,婦人補導院に収容されている者を,期間満了前に一定の条件の下に釈放して実社会での生活に入らせ,本人の更生を図ろうとする制度の総称である。仮釈放には,懲役又は禁錮の受刑者に対する仮出獄,拘留受刑者又は労役場留置者に対する仮出場,保護処分として少年院に送致された者に対する仮退院,婦人補導院の在院者に対する仮退院の4種類がある。なお,仮出場を許可された者には他の3種類の仮釈放者と異なり保護観察は付されない。

(2) 仮釈放の審理

 地方委員会は,3人の委員で合議体を構成し,矯正施設の長からの申請があった場合等には,仮釈放の審理を開始し,指名した委員(以下,「主査委員」という。)に審理を行わせる。主査委員は,原則として被収容者本人と面接し,[1]仮釈放の適否,[2]仮釈放の時期,[3]仮釈放の期間中守らなければならない特別遵守事項等について審理し,この結果に基づき,合議体で評議の上,仮釈放の許否等が決定される。
 以下,本節では,仮出獄を中心に仮釈放の状況について概観する(少年院からの仮退院については,第4編第2章第6節1参照)。

(3) 仮出獄の要件

 仮出獄は,懲役又は禁錮の受刑者に改悛の状があるときに,有期刑については刑期の3分の1,無期刑については10年の法定期間を経過した後,許可することができる。この法定期間については,少年法による特例がある。少年のとき懲役又は禁錮の言渡しを受けた場合の法定期間は,無期刑については7年,犯時18歳未満で10年以上15年以下の有期刑を科された者については3年,不定期刑についてはその刑の短期の3分の1とされる。ただし,犯時18歳未満の者に対しては,死刑をもって処断するときには無期刑を科することとされているが,このような無期刑の言渡しを受けた場合の法定期間は,成人と同様に10年とされている(第4編第2章第1節参照)。「改悛の状があるとき」の判断に当たっては,[1]悔悟の情が認められること,[2]更生の意欲が認められること,[3]再犯のおそれがないと認められること,及び[4]社会の感情が仮出獄を是認すると認められること,の四つの事項を総合的に判断し,保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められたときに仮出獄が許可される。