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 平成14年版 犯罪白書 第2編/第3章/第2節/3 

3 上訴審

 平成13年に言い渡された第一審判決に対する控訴率を見ると,地方裁判所の判決に対しては11.8%,簡易裁判所の判決に対しては5.4%となっている。同年における高等裁判所の控訴受理人員は7,629人で,これを控訴申立当事者別に見ると,被告人側のみの申立てによるものは7,397人(97.0%),検察官のみの申立てによるものは174人(2.3%),双方からの申立てによるものは56人(0.7%),その他(破棄差戻し・同移送・再審等)は2人(同0.03%)である(司法統計年報による。)。
 2-3-2-4表は,平成13年に高等裁判所が控訴審として処理した結果を,罪名別に見たものである。

2-3-2-4表 罪名別控訴審終局処理人員

 終局処理人員総数(7,629人)に占める比率は,公訴棄却が64.4%,取下げが19.7%,破棄自判が15.6%である。これを罪名別に見ると,取下げ率では覚せい剤取締法違反(30.2%),窃盗(23.2%),銃刀法違反(23.1%)が高く,破棄自判率は,競馬法違反(100.0%),過失傷害(28.2%),と博・富くじ(26.7%),恐喝(26.4%)が高い。
 高等裁判所における破棄理由を見ると,破棄人員総数1,194人のうち判決後の情状による者が758人(63.5%),量刑不当による者が264人(22.1%)となっており,自判の結果,裁判が覆されて無罪となった者は9人で,終局処理人員の0.1%となっている。
 平成13年において,検察官が第一審の無罪判決を不服として控訴した27人の被告人のうち14人(51.9%)については,第一審判決が覆されて有罪となっている(検察統計年報による。)。
 平成13年に言い渡された控訴審の判決に対する上告率を見ると41.3%で,第一審判決に対する控訴率に比べると高くなっている。最高裁判所の上告受理人員は2,190人である。最高裁判所が上告審として終局処理した人員は,1,997人で,その内訳は,上告取下げが552人(27.6%),上告棄却は1,433人(71.8%),破棄差戻し・移送は2人(0.1%)となっている(司法統計年報による。)。