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 平成14年版 犯罪白書 第1編/第2章/第4節/4 

4 その他

 心神喪失又は心神耗弱の状態で殺人,放火等の重大な他害行為が行われる事案については,被害者に深刻な被害が生じるだけでなく,精神障害を有する者がその病状のために加害者となる点でも,極めて不幸な事態である。このような者については,必要な医療を確保し,不幸な事態を繰り返さないようにすることにより,その社会復帰を図ることが肝要であり,近時,そのための法整備を求める声も高まっている。そこで,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案が平成14年第154回国会に提出された。
 この法律案の趣旨は,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し,その適切な処遇を決定するための手続等を定めることにより,継続的かつ適切な医療並びに,その確保のために必要な観察及び指導を行うことによって,その病状の改善とこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り,本人の社会復帰を促進しようとするものである。