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 平成14年版 犯罪白書 第1編/第1章/第5節/3 

3 その他の経済事犯

 1-1-5-6図は,最近10年間における強制執行妨害,競売入札妨害及び破産法違反の検察庁新規受理人員の推移を見たものである。

1-1-5-6図 強制執行妨害・競売入札妨害・破産法違反の検察庁新規受理人員の推移

 1-1-5-7表は,最近5年間の検察庁における強制執行妨害,競売入札妨害及び破産法違反の起訴・不起訴人員の推移を見たものである。

1-1-5-7表 強制執行妨害・競売入札妨害・破産法違反の起訴・不起訴人員

 平成13年に起訴されたものを見ると,強制執行妨害では,すべて公判請求であり,競売入札妨害では,85人が公判請求,34人が略式命令請求,破産法違反では,すべて公判請求となっている。
 これらの犯罪は,不良債権の回収をめぐって発生することが多い。特に破綻金融機関における不良債権の回収は,我が国の経済における大きな問題の一つになっており,金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成10年法律第132号)に基づき,株式会社整理回収機構(以下「整理回収機構」という。)が,破綻の前後を問わず,金融機関全般から買い取った不良債権の回収等を行っている。
 破綻金融機関における不良債権の回収等に関連する犯罪に関しては,刑事責任の追及を厳格に行うため,整理回収機構等の役職員に対し,告発に向けて所要の措置をとる義務が課されている。平成13年(会計年度)において,整理回収機構等では,借り手に関する事案25件(49人),貸し手に関する事案7件(26人)の合計32件(75人)について告発を行っている。その内訳は,借り手に関する事案では,強制執行妨害が8件(15人),偽計競売妨害が5件(11人),公正証書原本不実記載等が1件(2人),詐欺が7件(11人),その他が4件(10人)であり,貸し手に関する事案では,背任・特別背任が5件(18人),その他が2件(8人)となっている(預金保険機構の資料による。)。