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 平成14年版 犯罪白書 第1編/第1章/第1節/2 

2 窃盗を除く一般刑法犯の動向

 1-1-1-6図は,窃盗を除く一般刑法犯の認知件数,検挙件数,検挙人員及び検挙率の推移を昭和49年から見たものである。窃盗を除く一般刑法犯の検挙件数は,平成7年からほぼ横ばいで推移しているが,認知件数の増加が著しく,とりわけ12年からは,急増したため,検挙件数の増加が追いつかず,これが検挙率を急激に低下させた要因の一つとなっている。

1-1-1-6図 窃盗を除く一般刑法犯の認知件数・検挙件数・検挙人員及び検挙率の推移

 1-1-1-7図は,凶悪犯粗暴犯財産犯性犯罪,その他の刑法犯のうち主な罪名ごとに,最近20年間における認知件数,検挙件数,検挙人員,検挙率,少年比及び女子比の推移を見たものである(巻末資料1-2参照)。

1-1-1-7図 刑法犯の主要罪名別認知件数・検挙件数・検挙人員・検挙率・女子比及び少年比の推移

 殺人の認知件数は,長期減少傾向を経て横ばいないし微増傾向が続いており,平成13年も前年に続き1,300件を越えたが,その検挙率は94%から98%という世界でもまれにみる高率を維持している。また,強盗,傷害,暴行,脅迫,恐喝,強姦,強制わいせつ,住居侵入及び器物損壊等といった暴力的色彩の強い9罪種は,ここ数年,認知件数の増加と検挙率の低下が著しい。特に,平成12年に認知件数が急増した強盗,傷害,暴行,脅迫,恐喝,強制わいせつ,住居侵入及び器物損壊等は,13年にもさらに増加を示した。これら9罪種は,日常生活の中で身近に生起し得る犯罪であり,暴力的な色彩も強く,被害者の心身に深刻な打撃を与えるとともに,住民に不安や恐怖を与え,日々の生活を脅かす犯罪でもある。そこで,本白書では,暴力的色彩の強いこれら9罪種について,第5編の特集で詳細な分析を実施したので参照されたい。
 その一方,詐欺,横領(遺失物等横領を除く。),文書偽造などの知能犯及び遺失物等横領等の認知件数については,横領の上昇を除き,おおむね減少又は横ばい傾向が続いており,検挙率も高い。