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 平成13年版 犯罪白書 第4編/第5章/第5節/2 

2 調査対象者の特質

(1) 基本的属性

 IV-46表は,調査対象者の居住地,事件の種別及び性別を見たものである。これを一般群と比較すると,[1]居住地については,調査対象者では関東(一般群36.0%)及び中部(同10.0%)の割合が高く,[2]事件の種別については,調査対象者では保護観察処分少年(同50.6%)及び少年院仮退院者(同10.2%)の割合が高く,[3]性別については,一般群も調査対象者も同様の傾向を示している。

IV-46表 調査対象者の居住地及び事件の種別

 IV-47表は,保護観察開始時の調査対象者の年齢を見たものである。調査対象者の過半数を占める保護観察処分少年について見ると,年長少年,中間少年,年少少年の順に多く,これは一般群と同じ順となっている。なお,調査対象者の最高齢は67歳であった。

IV-47表 調査対象者の年齢

 IV-48表は,調査対象者の出身地域・国籍を見たものである。全体ではアジア地域及び南アメリカ地域で90%以上を占めており,国籍別では,ブラジル(36.9%),ヴィエトナム(20.1%),中国(19.9%)の順となっている。これを事件の種別に見ると,保護観察処分少年では,南アメリカ地域,特にブラジル国籍の者が多い。一方,仮出獄者及び保護観察付き執行猶予者では,アジア地域,特にヴィエトナム国籍の者が多い。

IV-48表 調査対象者の出身地域・国籍

 教育程度について見ると,我が国の教育制度における義務教育未了者(不就学並びに小学校中退・卒業及び中学校中退者)が19.9%(一般群1.4%)いる反面,大学進学歴のある者(大学在学・中退・卒業者)も4.2%(同3.2%)見られる。

(2) 来日後の状況

ア 来日期間等
 IV-49表は,調査対象者の来日期間を見たものである。

IV-49表 調査対象者の来日期間

 来日した際の在留資格(出入国管理及び難民認定法の区分による。)について見ると,定住者(39.2%),日本人の配偶者等(12.7%),永住者(9.2%)の順となっており,来日の目的では,「家族そろって来日」(30.5%),「家族と同居」(20.6%),「就労」(19.9%),「インドシナ難民として」(16.0%)となっている。
イ 薬物等使用歴・不良集団関係
 IV-50表は,来日後の薬物等使用歴及び不良集団関係を見たものである。薬物等使用歴については,何らかの薬物等の使用歴が認められた者の割合は21.5%で,一般群(28.1%)に比べて低くなっているが,これを薬物等の種類別に見ると,「あへん・大麻・麻薬等」の割合が一般群(1.0%)に比べて高くなっている。不良集団関係については,何らかの不良集団との関係が認められた者の割合は30.7%で,一般群(31.1%)との差は見られなかったが,これを不良集団の種類別に見ると,「地域不良集団」の割合が一般群(9.6%)に比べて高くなっており,その構成員の国籍では,約65%が「本人と同国」となっている。

IV-50表 調査対象者の薬物等使用歴及び不良集団関係