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 平成13年版 犯罪白書 第4編/第5章/第4節/1 

1 調査対象者の属性等

(1) 調査時年齢

 調査時年齢層別構成比を見ると,2年調査及び5年調査では「25〜29歳」が最も高率(ともに約3割)であったが,今回調査では「30〜34歳」が27.6%で最も高く,以下,「25〜29歳」(24.4%),「35〜39歳」(20.4%)等の順となっている。

(2) 国籍

 IV-42表は,国籍(地域を含む。)別人員を見たものである。アジア地域の出身者が大半を占めており,特に中国出身者が全体の37.9%を占め,次いでイラン(16.5%),ブラジル(7.4%),韓国・朝鮮(7.0%)となっている。また,近年,ブラジル,ペルー等の南アメリカ地域出身者の占める比率が高くなっており,今回調査では13.4%となっている。

IV-42表 国籍別人員

 国籍数は2年調査では27か国,5年調査では37か国(無国籍を除く。),今回調査では45か国と,経年につれて増加しており,使用言語数も,今回調査では35か国語に達している。

(3) 在留資格等

 犯行時における在留資格等別人員は,2年調査では,観光目的等の「短期滞在」で適法に在留する者の比率が61.4%で最も高かったが,5年調査では18.4%,今回調査では8.1%と大幅に低下している。一方「不法残留」は,2年調査での12.1%から,5年調査では42.0%と大幅に上昇した。今回調査では31.5%と,5年調査と比べ低下したが,在留資格別では一番高い比率を占めている。また,「不法入国・不法上陸」は,2年調査では3.1%,5年調査では19.0%,今回調査では22.7%である。

(4) 罪名

 IV-43表は,罪名別人員を見たものである。2年調査と比べ,今回調査では,総数において5倍以上となっている。

IV-43表 罪名別人員

(5) 刑名・刑期

 今回調査での刑名別人員は,懲役が1,233人で99.8%を占め,労役・その他が3人(0.2%)である。
 IV-44表は,刑期(言渡刑期)別人員を見たものである。今回調査では,5年以下が415人(33.6%)で最も多く,以下,3年以下225人(18.2%),7年以下214人(17.3%)の順となっている。

IV-44表 刑期別人員

 刑期が10年を超えるものの推移を見ると,2年調査では21人(9.4%),5年調査では27人(7.2%),今回調査では69人(5.6%)となっている。

(6) 犯行の動機

 IV-45表は,犯行の動機を見たものである。今回調査では,「利欲」の比率が45.8%で,2年調査及び5年調査と同様,最も高い比率を占めている。また,これに次いで「困窮・生活苦」が33.5%,「共犯者に誘われて」が23.4%と高く,それぞれ5年調査より比率が上昇している。

IV-45表 犯行の動機

(7) 共犯者数

 IV-72図は,共犯者の有無・共犯者数を見たものである。経年につれて「単独」の比率が上昇しており,今回調査では41.3%(508人)となっている。今回調査において「共犯者あり」とした者(722人)のうち,共犯者数が1人とした者が244人(33.8%)で最も多く,4人以上とした者が183人(25.3%)で,これに次いでいる。

IV-72図 共犯者数

(8) 語学能力

 IV-73図は,日本語の日常会話及び読み書きについての語学能力を示したものである。「全くできない」及び「あまりできない」と回答した者を併せると,日常会話については44.5%であり,読み書きについては68.0%となっている。「全くできない」とする者の比率は経年につれて低下しているものの,日本語に対する理解力に欠ける者が依然として多いことがうかがえる。

IV-73図 日本語能力

 受刑者の日本語教育受講については,「受けた」及び「受ける予定である」を併せると,2年調査での90.1%から,今回調査では50.2%と低下している。