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 平成13年版 犯罪白書 第2編/第5章/第3節/3 

3 各種の施策

(1) 分類処遇制度

 分類処遇は,科学的な知見に裏打ちされた一定の基準に基づき,保護観察対象者を処遇の難易度に応じてA・Bの2段階に分類し,問題が多く処遇が困難と予測されたA分類の者に対しては,保護観察官による直接的処遇等の各種処遇を積極的に行う制度である。
 II-21図は,昭和46年に現行の分類処遇制度が発足して以降A分類とされた者の比率の推移を見たものである。

II-21図 A分類率の推移

 近年,仮出獄者及び保護観察付き執行猶予者のいずれにおいても,A分類とされた者の比率が上昇する傾向が見られ,以前と比べて処遇困難者が増加していることがうかがえるが,平成7年以降は,おおむね横ばいの状態が続いている。

(2) 類型別処遇制度

 類型別処遇は,保護観察対象者のもつ問題性その他の特性を,犯罪・非行の態様,環境条件等により10区分に類型化した上,類型ごとに具体的な処遇指針を例示し,その特性に焦点を合わせた処遇を実施する制度であり,複数の類型に該当する保護観察対象者に対しては,複数の区分に類型化し,処遇を実施している。平成12年12月31日現在,「覚せい剤事犯」類型には,仮出獄者の27.2%,保護観察付き執行猶予者の22.3%が,それぞれ該当しているほか,「暴力組織関係」類型には同じく3.5%と4.6%,「性犯罪」類型には同じく4.8%と4.3%が,それぞれ該当している(法務省保護局の資料による。)。

(3) 長期刑仮出獄者に対する保護観察

 無期刑を含む長期刑仮出獄者に対しては,特に保護観察の充実・強化が図られている(長期刑受刑者に対する仮出獄審理については,本章第2節3(2)参照)。
 地方委員会が相当と認め,かつ,本人の同意を得た事案については,仮出獄当初の1か月間,更生保護施設に居住させ,早期に円滑な社会生活へ移行させることを目的とした処遇を計画的・集中的に行う中間処遇を実施している。平成12年の中間処遇実施対象者は116人である(法務省保護局の資料による。)。
 さらに,平成12年7月から,仮出獄後1年間(仮出獄の期間が1年に満たないときは,その期間)を重点的な処遇期間として,この間の保護観察官による直接的関与を強化するほか,被害者及び遺族に対する被害弁償・慰謝の措置の具体的方法について保護観察開始当初から継続的に指導・助言していくなどの処遇を実施することとなった。