前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成13年版 犯罪白書 第1編/第1章/第4節/2 

2 連座制の適用状況

 平成6年の公職選挙法の一部改正により,連座制の対象となる者として新たに秘書や組織的選挙運動管理者等が加えられたほか,従前から連座制の対象となる者とされていた親族についても,立候補予定段階における違反にまで適用が拡張されたのに加え,懲役・禁錮刑に執行猶予が付された場合でも連座制が適用されるものとされ,さらに連座制の効果として立候補禁止も加えられるなど,連座制が強化された。
 この強化された連座制により,検察官が原告として連座制に係る当選無効等の訴訟を提起したのは73件であり,その内容を見ると,当選無効及び立候補禁止訴訟が12件,立候補禁止訴訟が61件である。これらのうち,原告勝訴(訴えの利益がなくなり訴えを取り下げたものを含む。)の判決が確定したものは72件(平成13年5月31日現在)である。その余の1件は,同一の候補者について,別の原因に基づいて連座制の適用を認めた判決が確定していることを理由として,原告敗訴の判決が確定したものである。
 I-13表は,検察官が提起した73件の訴訟に係る連座制の対象となる者113人について,選挙別・連座制が適用される原因たる身分別にその内訳を見たものである。地方選挙においては,公職選挙法違反の送致人員が減少しているにもかかわらず,訴訟件数が多く,その連座制の発動原因になる者の数には,ほとんど減少が見られない状態であり,この種の選挙における悪質な違反が依然として根強いことがうかがえる。

I-13表 選挙別・連座制発動原因者別連座訴訟提起状況