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 平成12年版 犯罪白書 第6編/第3章/第2節/2 

2 行為者の役職及び年齢

(1) 役職

 VI-10表は,罪名別に,行為者(本調査において,企業犯罪により有罪判決を受けた代表者,従業者等を言う。以下同じ。)の役職を見たものである。

VI-10表 罪名別行為者の役職

 総数では,「代表取締役・会長・社長」の構成比が64.3%と最も高く,次いで,「法人の役員・取締役・監査役」が16.7%,「役員以外の役職者」が15.9%となっている。
 罪名別では,法人税法違反,証券取引法違反,贈賄,競売入札妨害,商標法違反,著作権法違反及び廃棄物処理法違反において,「代表取締役・会長・社長」の構成比が最も高くなっており,特に法人税法違反では90.5%に達している。一方,独占禁止法違反では,「役員以外の役職者」が74.2%と最も高く,商法違反においても,「役員以外の役職者」が最も高くなっている。
 さらに,行為者の役職の構成比を所属企業の資本金別に見たものがVI-11表である。

VI-11表 所属企業の資本金別行為者の役職

「代表取締役・会長・社長」が行為者であるものの構成比は,資本金300万円未満,300万円以上500万円未満及び500万円以上1,000万円未満では,いずれも80%以上高く,資本金が多くなるにしたがって次第に低くなり,1億円以上10億円未満では33.3%,10億円以上50億円未満では5.0%となっているが,50億円以上では,13.6%と逆に高くなっている。「法人の役員・取締役・監査役」は,10億円以上50億円未満には該当がなく,次いで,資本金300万円未満が7.9%と低く,3,000万円以上5,000万円未満で23.9%,5,000万円以上1億円未満で20.3%となっているほかは10%台となっている。
「役員以外の役職者」が行為者であるものは,資本金300万円未満,300万円以上500万円未満及び500万円以上1,000万円未満には該当がなく,1,000万円以上3,000万円未満では3.8%と低く,資本金が多くなるにしたがって次第に構成比が高くなり,10億円以上50億円未満では90.0%となっているが,50億円以上では,67.2%と逆に低くなっている。「役職なし」の構成比は,資本金の多寡にかかわらず5.0%未満と低くなっている。

(2) 年齢

 VI-12表は,罪名別に行為者の年齢層を見たものである。

VI-12表 罪名別行為者の年齢層別人員

 総数では,50歳代の行為者の構成比が最も高く,次いで40歳代,60歳代となっており,20歳代の行為者は全体の1%にも満たない。
 罪名別に見ると,法人税法違反,商法違反,証券取引法違反,独占禁止法違反,贈賄,競売入札妨害及び廃棄物処理法違反では50歳代の構成比が最も高くなっているが,商標法違反では40歳代,著作権法違反では30歳代の構成比が最も高くなっている。