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 平成12年版 犯罪白書 第6編/第2章/第3節/1 

第3節 経済犯罪の処理状況

1 検察庁における処理状況

 巻末資料VI-2は,昭和30年,40年,50年及び60年並びに最近5年間における所得税法違反,相続税法違反,法人税法違反,消費税法違反,商法違反,独占禁止法違反,証券取引法違反,特許法違反,商標法違反,著作権法違反及び不正競争防止法違反による検察庁終局処理人員の推移を見たものである。
 所得税法違反,相続税法違反,法人税法違反及び消費税法違反の起訴率は,全体を通じて,おおむね80%台から90%台で推移しており,起訴猶予以外の理由による不起訴人員は全体に少ない。平成11年における終局処理人員総数及びその内訳を見ると,所得税法違反は,総数が58人で,公判請求が55人(94.8%),不起訴が3人(5.2%),相続税法違反は,総数が63人で,公判請求が42人(66.7%),不起訴が21人(33.3%),法人税法違反は,総数が222人で,公判請求が192人(86.5%),不起訴が30人(13.5%),消費税法違反は,総数が6人で,公判請求が3人(50.0%),略式命令請求が2人(33.3%),不起訴が1人(16.7%)となっている。
 商法違反の起訴率は,近年,30%台から50%台で推移している。平成8年から10年においては,公判請求人員が終局処理人員総数の半数を超えており,その一方,全体を通じて,略式命令請求人員は少ない。11年における終局処理人員は144人で,公判請求が50人(34.7%),略式命令請求が2人(1.4%),不起訴が92人(63.9%)となっている。
 独占禁止法違反の終局処理人員中,不起訴人員として平成7年に計上されている296人及び11年に計上されている4人は,公正取引委員会からの告発がなかった者であり,これを除くと,終局処理はすべて公判請求となっている。11年における終局処理人員は56人で,公判請求が52人(92.9%),不起訴が4人(7.1%)となっている。
 証券取引法違反の起訴率は,平成9年を除き,最近5年間においては,40%台から60%台で推移しており,同年及び11年においては,公判請求人員が終局処理人員総数の半数を超えている。11年における終局処理人員は56人で,公判請求が34人(60.7%),略式命令請求が2人(3.6%),不起訴が20人(35.7%)となっている。
 特許法違反については,平成9年以降,終局処理人員がない。
 商標法違反の起訴率は,最近5年間においては,70%台から80%台で推移しており,昭和30年,40年及び50年の各年と比べると,相当高くなっている。著作権法違反の起訴率も,最近5年間においては,60%台から70%台で推移しており,昭和30年,40年,50年及び60年の各年と比べると,相当高くなっている。一方,最近5年間において,商標法違反及び著作権法違反の起訴人員については,略式命令請求人員の比率がおおむね60%台から80%台を占めている。平成11年における終局処理人員総数及びその内訳を見ると,商標法違反は,総数が248人で,公判請求が65人(26.2%),略式命令請求が124人(50.0%),不起訴が59人(23.8%),著作権法違反は,総数が153人で,公判請求が35人(22.9%),略式命令請求が77人(50.3%),不起訴が33人(21.6%),家庭裁判所送致が8人(5.2%)となっている。
 不正競争防止法違反については,平成10年は終局処理人員がなかったが,11年における終局処理人員は16人であり,その内訳は,公判請求が2人(12.5%),略式命令請求が3人(18.8%),不起訴が11人(68.8%)となっている。