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 平成11年版 犯罪白書 第5編/第7章/第9節/3 

3 被害者補償制度等

 ニュー・ジーランドには,国家災害補償制度(accident compensation scheme)があり,暴力犯罪被害に限らず,何らかの災害・事故によって経済的援助が必要になった者が補償の対象となる。この制度は1974年に導入された強制加入の国民災害保険制度であり,国民から,コモンロー上の個人的に損害賠償請求訴訟を起こす権利を取り上げる代わりに,国が損害を補償するもので,通常の保険制度と異なり過失を問わない。ただし,財産犯罪による財物の損失は,その対象とはならない。そのため,財物の損失に対して,犯罪被害者は,加害者に対して損害賠償請求訴訟を起こすことができる。この制度の目的は,暴力犯罪を含めた災害による被害からの立ち直りを支援することにあり,そのため,補償の対象となるのは,身体的被害の回復にかかる費用及びリハビリテーシヨンにかかる費用のほか,被害から職場復帰までの収入補償を含んだものとなっている。対象となるのは,ニュー・ジーランド国民だけでなく,ニュー・ジーランドを訪れている旅行者も含まれる。