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 平成11年版 犯罪白書 第5編/第7章/第2節/3 

3 被害者補償制度等

 アメリカにおける犯罪被害者補償制度は,各州で運営されている。1965年にカリフォルニア州において,全米初の被害者補償法が制定されて以後,各州に広まり,現在ではすべての法域において被害者補償制度が設けられている。アメリカにおける被害者補償制度は,暴力犯罪,飲酒運転,家庭内暴力等の被害者に対する経済的援助を行うもので,心理的カウンセリング等を含む医療費,犯罪による身体的傷害によって失った賃金,殺人の場合の葬儀費用及び被扶養者の生活費等が補償の対象となるが,原則として犯罪による財産的損害は対象とならない。1996年において,全米で11万人以上の犯罪被害者が総額約2億4,000万ドルの補償を受けている。補償額の上限は,大半の州で1万5,000ドルから2万5,000ドルで,一人当たりの平均補償額は,約2,000ドルである(司法省の資料による。)。
 また,1982年の委員会報告による勧告を受けて,1984年の犯罪被害者法により,犯罪被害者基金(CrimeVictimsFund)が設立され,一定の要件を満たした各州の犯罪被害補償プログラム及び後記4の被害者支援プログラム等に補助金を交付している。この基金の財源は,連邦犯罪に係る罰金,没取保釈保証金,刑罰賦課金(penaltyassessment)及び加害者が自分の犯罪を映画や本に公表すること等によって得られる利益の没収金等の預託によるものであり,1985年から1997年における,同基金のこれらの財源による預託金総額の推移を見ると,V-40図のとおりである。

V-40図 犯罪被害者基金預託金の推移