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 平成11年版 犯罪白書 第5編/第6章/第1節/3 

3 被害者等に対する意識

(1) 被害者等の気持を聞いたことの有無
 V-71表は,「事件についての被害者やその家族の実際の気持ちを聞いたことがありますか」と重複選択で尋ねた結果を示したものである。総数で見ると,60%を超える者が,「聞いたことはない」と答えている。また,「聞いた」とするものでは,「被害者やその家族の調書の内容を聞いた」が22.7%,「直接会って聞いた」が8.3%などとなっている。罪種別に見ると,「直接会って聞いた」は,業過致死(48.5%)及び業過傷(37.7%)で高く,強盗 (1.2%)及び強姦(2.6%)で低くなっている。

V-71表 罪種別被害者等の気持ちを聞いたことの有無

 V-15図は,「被害者の気持ちについて,くわしく知りたいと思いますか」と尋ねた結果を示したものである。総数で見ると,「知りたいとは思わない」(62.4%)が「知りたいと思う」(37.6%)を大きく上回っているが,「知りた いと思う」と答えた者について,重複選択で更にその内容を尋ねた結果を見ると,「自分に対してどういう感情をもっているか」が60.3%,「自分が受けた処分についてどう思っているか」が45.2%,「謝罪についてどう思っているか」が36.0%,「示談についてどう思っているか」が25.3%となっている。
 なお,罪種別では,「知りたいとは思わない」ものの比率が,傷害(70.4%)及び恐喝(69.0%)で高くなっている。

V-15図 罪種別被害者感情に対する関心の有無

(2) 被害者等の感情に関する認識
 V-72表は,「被害者やその家族は,現在,あなたに対してどんな気持ちだと思いますか」と重複選択で尋ねた結果を示したものである。
 総数で見ると,「今回の処分で,なっとくしている」及び「すでに自分を許す気持ちになっている」と回答した者が,それぞれ24.4%,11.2%であるのに対し,「一生,自分をにくみつづける」及び「自分がいつまでも施設から出てこないことをねがっている」と回答した者は,それぞれ16,1%,11.7%となっている。一方,「わからない」と回答した者が42.8%になっている。
 さらに,罪種別に見ると,「今回の処分で,なっとくしている」は,恐喝(31.6%)で高く,「すでに自分を許す気持ちになっている」は,傷害(21.2%)及び業過傷(20.3%)で高くなっている。一方,「一生,自分をにくみつづける」は,業過致死で59.1%,強姦等で46.2%,殺人等で42.7%と高く,また,「自分がいつまでも施設から出てこないことをねがっている」は,強姦等で37.6%,業過致死で24,2%,殺人等で22.5%と高くなっている。

V-72表 罪種別被害者等の感情に関する認識

(3) 処分についての被害者等の感情に関する認識
 V-16図は,「被害者やその家族は,あなたの処分について,どんな気持ちだと思いますか」と尋ねた結果を罪種別に示したものである。
 総数で見ると,半数以上の者(57.6%)が「わからない」と答えているが,「軽すぎると思っている」が14.2%であるのに対し,「重すぎると思っている」は5.9%,「適当であると思っている」が22.4%となっている。罪種別に見ると,「軽すぎると思っている」は,業過致死(49.2%),殺人等(39.8%)及び強姦等(37.9%)で高くなっている。これに対し,「重すぎると思っている」は,恐喝(12.5%),業過傷(10.0%)及び傷害(8.5%)で,「適当であると思っている」は詐欺等(28.4%),強盗(25.0%)及び窃盗(24.2%)でそれぞれ高くなっている。

V-16図 罪種別処分についての被害者等の感情に関する認識