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 平成11年版 犯罪白書 第5編/第3章/第2節/7 

7 裁判結果その他の情報の認識等

 (1)裁判結果の認識
 V-34表は,加害者の裁判結果を知っているかについて罪種別に見たものである。裁判結果を知っている被害者等は,全体で580人(約52%)である。
 罪種別では,裁判結果を知っているものの占める比率は,殺人等が約89%と最も高く,次いで強姦約72%,・業過致死約68%,傷害等約60%の順となっており,最も低いのは窃盗の約17%である。

V-34表 裁判結果の認識

 裁判結果をどこから知ったかについて,全体では,「検察から」の比率(約39%)が最も高く,次いで「裁判の傍聴で」(約25%),「警察から」(約14%)の順となっている。罪種ごとに見ると,殺人等及び業過致死では,「裁判の傍聴で」の比率が最も高いのに対し,それ以外の罪種では,業過傷を除き,「検察から」の比率が,いずれも最も高くなっている。
 裁判結果についてどう思うかについて尋ねた結果を,罪種別に見たものが,V-35表である。全体では,「軽すぎると思っている」(約54%)とするものが過半数を占めており,これに次いで「適当であると思っている」(約23%),「わからない」(約23%)の順となっているが,「重すぎると思っている」とするものは,強盗で1人いるだけである。罪種ごとに見ると,業過傷及び強盗を除き,「軽すぎると思っている」とするものの比率が最も高く,中でも殺人等,業過致死及び強姦では,それぞれ約81%,約65%,約60%と最も高い比率を示している。これに対し,業過傷では,「わからない」の比率が約38%で最も高く,強盗では「適当であると思っている」の比率が約43%と最も高くなっている。
 なお,殺人等及び業過致死の遺族に「軽すぎると思っている」理由を尋ねたところ,殺人等では,「人の命を奪ったにしては軽すぎる」,「人を殺した償いとしては軽すぎる」とするものが多く,業過致死では,「人の生命の代償としては軽すぎる」とするものが多かった。

V-35表 裁判結果の評価

 (2)捜査・裁判上の加害者に関する情報について
 V-36表は,捜査・裁判上の加害者に関する情報について知っているかを尋ねた結果を見たものである。加害者の検挙・逮捕については約93%,加害者の氏名・年齢・職業などについては約96%,加害者の起訴については約75%,加害者の裁判の期日等については約50%,加害者の裁判の進行状況については約37%,加害者の釈放時期については約19%の被害者等が知っていると回答している。
 それらの情報について,被害者等がどこから知ったかについて見てみると,最も比率が高いのは,加害者の検挙・逮捕,加害者の氏名・年齢・職業など,加害者の起訴及び加害者の釈放時期については,警察から,加害者の裁判の期日等及び加害者の裁判の進行状況については,検察からとなっている。

V-36表 加害者に関する情報の認識状況及び情報源