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 平成11年版 犯罪白書 第5編/第3章/第2節/2 

2 調査対象となった事件の概要

 (1)財産的損害の総額
 現金・物等を取られたり,物を壊されるなど何らかの財産的損害のあった被害者は,窃盗で140人(約99%),詐欺等で123人(約97%),強盗で110人(約89%),恐喝で96人(約92%)である。そのうち,損害額の記載のあったものについて見ると,窃盗,強盗及び恐喝では,被害総額が10万円以下のものの占める比率が50%を超えているが,詐欺等では,その比率は約24%にすぎず,被害総額が100万円を超えるものの比率が50%を超えている。
 (2)傷害の有無・程度
 本調査では,傷害等・業過傷の被害者は,受傷期間1か月以上のものを対象としたが,それ以外の罪種において,傷害を負った者は,強盗で約53%,恐喝で約30%,強姦で約65%,強制わいせつで約39%を占めている。その受傷期間については,2週間未満のものの比率が最も高く,強盗で約43%,恐喝で約83%,強姦で約42%,強制わいせつで約61%となっている。
 (3)犯行場所等
 犯行場所は,窃盗では自宅(約35%),強盗では自宅・加害者の家以外の屋内(約35%),恐喝では屋外(約30%),強姦では自宅(約32%),強制わいせつでは屋外(約46%)が,いずれも最も高い比率となっている。
 (4)加害者と被害者の面識の有無
 被害者が加害者を「よく知っていた」とするものの比率は,殺人等(約50%),傷害等(約38%)及び詐欺等(約33%)で高いが,その他の罪種では15%未満であり,強制わいせつでは,選択した者はいなかった。加害者を「知らなかった」とするものの比率は,高い順に,強制わいせつ(約96%),業過傷(約92%),業過致死(約85%),強姦(約81%),窃盗(約80%),強盗(約80%),恐喝(約68%)となっている。
 (5)その他
 事件発生から本調査実施までの経過期間は,V-15表のとおりであり,その平均は,約1年4か月である。

V-15表 事件発生から調査までの経過期間