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 昭和38年版 犯罪白書 第四編/第三章/二/5 

5 麻薬受刑者の犯数と入所度数

 IV-26表は麻薬受刑者の犯数と入所度数とを一表にしたものであるが,初犯者と累犯著との割合は,総数では全受刑者の比率との間にあまり大きな差異は認められない。しかし各群別にはかなり大きな開きが認められ,累犯者の比率は使用密売者が最も高く七〇・五%を示し,使用者がこれにつぎ(五一・三%),密売者が四六・四%で最も低い。この傾向は入所度数別に見ると,いっそう明白に認められ,使用密売者では入所度数の多い者が,いずれも全受刑者の比率を超過しており,とくに四-五人の者では二三・三%の高率を示している。これに対して,密売専門の群には初犯者が多く,入所度数の多い者も比較的少ないことから,さきに触れた刑期の長短は入所度数とはあまり関係がないと考えてもよいようである。

IV-26表 麻薬関係受刑者の犯数別・入所度数別人員

 使用密売者の群が他の二群よりも入所度数の多い者が高率であることは,麻薬犯罪の経歴の長い者が多く含まれていることを意味するものと考えれば,現在の使用者,あるいは密売者ですらも,やがては使用密売群に移行して行くことも推察に難くないといえよう。