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 昭和38年版 犯罪白書 第三編/第五章/三 

三 少年犯罪の予防活動

 少年犯罪の概況については,既に述べたとおりであるが,少年が非行におちいる前に,これを未然に防止するための活動は,その矯正,保護の措置と同様に,あるいはまたそれ以上に,重要なことである。
 非行を未然に防止するためには,まず非行におちいった原因をつきとめて,これを取り除くことが必要であることはいうまでもないが,これは,このこと自体きわめてむずかしいことであるのみならず,その原因とするところは,個々の少年において,それぞれ事情をことにしているものがあるようである。したがって,一律に非行を防止するための特効薬的対策をたてることは,とうてい不可能というに近いであろう。しかし一般的に言えることは,少年が成人に比べて環境の影響を受けやすいということである。そこで少年を非行化から守るためには,一つには,少年を健全に育成して,非行に感染じないだけの心身の抵抗力をつけさせ,二つには,少年を取り巻く環境を浄化し,非行と関係の深い諸要因を除去することが必要になる。前者は,いわゆる健全育成であり,後者は,いわゆる地域浄化である。
 少年の健全な育成を図る仕事は,文部省,厚生省,労働省等の関係各省,その他,諸機関,諸団体によって,それぞれ独自の分野で,またそれらの協力体制において展開されているが,その詳細は「青少年白書」等の記述に譲ることとし,ここでは刑事政策に密着している地域浄化活動について述べる。