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 昭和38年版 犯罪白書 第三編/第四章/一/2 

2 罪名,刑期および犯歴にみられる特性

 次に,新たに刑務所に入所した少年受刑者について,成人受刑者と違った二,三の点をあげてみよう。
 まず昭和三二年以降,毎年新たに入所した少年受刑者(二〇才未満で刑務所に入所した者)の罪名別人員とその比率をみるとIII-56表のとおりであるが,これによると少年受刑者では窃盗,詐欺,横領などの財産犯の人員比率は,成人を含めた新受刑者総数の比率より低いが,強盗,恐かつ,殺人などの暴力犯や強かん等の性的犯罪の比率は,少年の方がかなり高い。なお実数はわずかであるが,麻薬取締法違反の少年受刑者が昭和三四年以降ふえてきていることには注意を払う必要がある。

III-56表 20才未満新受刑者の罪名別人員と率等(昭和32〜36年)

 つぎに少年受刑者の刑期についてみよう。III-57表は昭和三二年以降各年末現在収容少年受刑者の刑期別人員とその率を示すものであるが,この表によると,成人を含めた全受刑者では懲役二年以下のものが全体の約五七%(昭和三六年)であるのにくらべ,少年受刑者では毎年を通じて懲役二年をこえ一〇年以下のものが全体の約七五%を占めているのであって,一般に少年受刑者には刑期の長いものが多いといえよう。

III-57表 少年受刑者の刑名・刑期別人員と率等(昭和32〜36年)

 つぎに少年受刑者の犯歴をみるとIII-58表のとおり,成人では累犯者が全体の約五八%で過半数であるのにくらべ,少年では初犯者が九九%で大多数である。また成人ではかって一度以上刑務所に入所したものが全体の約六割であるのに比し,少年では初めて刑務所に入所するものが九割でその大部分である。

III-58表 新受刑者の犯数別および入所度数別人員と率(昭和36年)

 しかし保護処分の前歴という点になるとIII-59表の示すように,少年受刑者中の初犯者の約四〇%が少年院送致の前歴をもっており,これは二〇才台の初犯受刑者中の約一五%が同様の前歴を有する者であるのにくらべて,はるかに高率である。

III-59表 新受刑者の保護処分歴別人員と率(昭和36年)